ゴメス虎新助っ人最長開幕10戦連続H

 「阪神5‐6DeNA」(8日、甲子園)

 身長188センチの阪神・ゴメスが背中を丸めながら、小柄な大木通訳の示すノートをのぞき込んだ。2点を追う八回。DeNA・中畑監督は、上本から始まる4人の打者に3投手をつぎ込んできた。山口、大原、高崎。3月中旬までにオープン戦で2度組まれたDeNA戦は、右膝裏の痛みで出場がない。初めて生で見る投球スタイルと軌道。チーム作成の対戦データのみを頼りに快音を響かせた。

 「スコアラーさんのノートを見て球種だけ知って、初球から打てる球が来たからスイングしたんだ」。走者を一、二塁に置いて高崎のスライダーを中堅左へはじき返す追撃の一打で1点差。甲子園のデビュー戦でこの日2本目の適時打を放ち、大歓声を浴びた。

 79年の歴史を持つ阪神球団の助っ人記録を塗り替えた。大和の先制打で久保にダメージを与えた五回。なおも走者を一、二塁に置いて内角のシュートを振り抜いた。左翼線二塁打で追加点をもたらすと、二塁ベース上、大きなジェスチャーで3度手をたたいた。開幕戦からの連続試合安打を10に伸ばし、05年のリーグVに貢献したシーツと並んでいた虎の助っ人最長記録を更新。4日ヤクルト戦から4戦連続となる適時打を本拠の猛虎党に披露した。

 宜野座キャンプ終盤、右膝の裏側に原因不明の痛みを感じた。予定していた初の対外試合(中日戦)を直前回避。精密検査を受けたが、MRI(磁気共鳴画像装置)の映像に異常は見つからなかった。首脳陣は「痛みの原因が明確なら処置のしようがあるけど…」と実戦解禁を本番直前まで凍結した。その影響で開幕以来、初物の対応に追われるが、結果を残している。

 「球場の雰囲気もいいし、いい場面で打てた。でも、負けてしまった。この借りは明日返したいよ」。甲子園で鮮やかなインパクトを残したゴメスが悔しそうに雪辱を誓った。

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