良太が起爆打!猛打ショー!3打点

 「阪神15‐0中日」(2日、京セラ)

 マウンド上、厳しい表情の谷繁兼任監督を中心に中日内野陣が集まっていた。投手はルーキーの又吉。阪神・新井良は打席の外で変則右腕の軌道を思い描きながら、2度スイングを確かめ、また割りをして打席に入った。開幕から7打席無安打で迎えた四回の第2打席で左中間へ適時二塁打を放ち、塁上でガッツポース。これで呪縛が解けた。六回は無死満塁。落ち着き払って、外角低め、難しいコースの速球を難なく右前へ運んだ。

 「まだヒットを打ててなかったので、不安でいっぱいだった。そういう時も、色んな人に声をかけていただいて…感謝しています。初安打をいいところで打てて良かった」。

 新井良がたたきだした5点目が大量追加点の起点になり、終わってみれば16安打15得点の圧勝劇。ヒーロー多き試合で連敗脱出の立役者となった。

 古巣に育ててもらった恩義は、忘れられない。今春の沖縄キャンプ。新井良は休日を利用して理容店に出掛けた。日々の強い日差しで傷み、うっすらと茶けた髪を真っ黒に染めた。「気分転換」。そう、特別な理由はなかった。読谷村の宿舎を一歩出れば、車窓に懐かしい風景が飛び込んでくる。中日2軍のキャンプ地。若竜はサトウキビ畑の林道を球場までは徒歩で通う。「このあたりをへとへとになりながら歩いたな…」。12球団随一の過酷な練習で泥だらけになった20代前半を思い起こせば、今も背筋が伸びる。

 初回にルナの三遊間の打球を好捕した。「あれで乗っていけた」。八回にも犠飛を放ち3安打3打点の活躍。「気持ちを前面に出して、気を出して勝利に貢献したい」。新井良の14年が幕を開けた。

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