掛布DC、若虎に魂伝授「怖さ楽しめ」

 阪神・掛布雅之DC(58)が7日、宮城県名取市で行われたOB会の野球教室に参加。近日中に入団発表が行われるルーキーや、若手選手へ向けてプロでの心構えを説いた。自身は高卒1年目から1軍に定着したが、原動力は“恐怖心”。チャンスをつかみ、野球の怖さを知り、その怖さを楽しむことが一流へのステップと力を込めた。

 気温6度、みぞれ舞う東北の地で掛布DCの口調は熱さを増していった。約2時間、子供たちへの熱血指導で体の芯から冷え込んでも、語気は熱を帯びていた。これからプロの門を叩くルーキーたちへ‐。ミスタータイガースが一流への心構えをこう説く。

 「怖さを知って本物になる。チャンスをつかんで、レギュラーになって、そこで初めて追われる怖さだったり、結果に対する怖さを知る。そこからがプロの勝負。最後はその怖さを楽しめるのが、一流選手だと思う」

 掛布DC自身は高卒1年目ながらチャンスをものにし、1軍に定着。虎の4番として幾多のライバル、他球団のエースと戦いながら349本塁打の球団記録を打ち立てた。だがドラフト入団時は6位指名で「テストで入った」。1年で契約を切られる危機感があった。「入団発表を終えて両親を新大阪で見送って、急に怖くなった。とんでもないとこに来たと思った」と述懐する。

 近年は若手に一定の育成期間が設けられ、環境整備も進んでいるが「昔は2軍にいたら練習すらできなかった。武庫川の土手を走ってたくらい。だから4番になろう、レギュラーになろうではなく、とにかく365日、悔いだけ残さないように」。その思いが1年目のオープン戦で東尾から2安打を放つなど鮮烈デビューの原動力となった。テスト生がミスタータイガースへ変貌を遂げる原点になった。

 スカウト網が整備された今、「今の子たちは選ばれて入ってくる可能性のある選手ばかり。全員にチャンスがあって、環境も整っている。(1年目からチャンスを)つかんでほしいと思うよね」と言う。悠長に構えるのではなく、1日でも早くプロの怖さを知る‐。それがかつての自分のように、一流への階段を駆け上がる第一歩になる。

 もちろん他の若手選手にとっても同じ。志半ばでプロ野球を去る後輩たちを掛布DCは見てきた。「もったいない」と感じるからこそ、まず怖さを知ることが重要だ。

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