虎あぁ拙攻 鳥谷弾だけ…CS大丈夫?

 「阪神2‐2中日」(10日、甲子園)

 阪神は0‐1の六回、鳥谷敬内野手(32)が中日先発・川上憲伸投手から逆転2ランを放った。中日が3位になった場合、CS第1Sで阪神と対戦する可能性がある。全盛期の力はないが、かつてCSで痛い目に遭った川上を打ったことには価値がある。ただ、全体的に打線は低調。気分が重くなる12回ドローだった。

 勝ちきれなかった。延長12回ドローは徒労にも等しい。それでも唯一の光明は4番・鳥谷が右中間席にたたき込んだ2ランだ。それは単なる一発ではない。今後の戦いを見据えれば、白星に勝るとも劣らない価値がある。

 場面は1点を追う六回だ。1死一塁で迎えた第3打席。ここまで要所を締められていた川上の失投を見逃さなかった。カウント1ボールからの2球目、真ん中に浮いた136キロのカットボールを完璧に捉えると、打球は弾丸ライナーで平田の頭上を越え、右中間席に突き刺さった。

 4番就任後、2本目となる8号2ランは値千金の逆転弾。「大きいのを打つというより、後ろのバッターにつないでいこうという意識で打席に向かった。秋山が粘りの投球をしていたので、早く点を取ってあげたかった」と語り、和田監督は「早いカウントから振っていくようになった。スイングも強くなっている」と目を細めた。好投の秋山を援護する一方、あの苦い記憶を消し去るには十分なインパクトだ。

 実に5年ぶりの対戦となった川上。通算17勝27敗と負け越しているだけでなく、ポストシーズンでことごとく虎の前に立ちはだかってきた。CSが導入された07年の第1ステージ初戦では7回0封、二塁すら踏ませてもらえなかった。翌08年も初戦で7回0封の白星を献上し、14イニング連続無得点と手も足も出せていないのが現状だ。

 中日は広島とCS進出を激しく争っており、第1ステージで戦う可能性もある。仮にゼロ行進が続けば、苦手意識はより深くなっていた。右腕のカットボールを両コーナーに投げ分ける投球技術はいまだ健在。関川打撃コーチが「(ゼロで終わるのと)全然、違うよ。トリがしっかり対応してくれた」と語るように、経験豊富な右腕からの一発は大きな意味を持つ。

 試合を重ねるごとに増している4番・鳥谷の存在感‐。一発を含む3安打猛打賞。その姿こそ、優勝が絶望的になった今、チームの確かな光だ。

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