福留帰ってきた!109日ぶり豪快一発

 「阪神3‐1広島」(15日、京セラ)

 勝負強さは健在だった。阪神・福留が右翼スタンドに飛び込む特大の本塁打。4月28日以来、109日ぶりの一発で復活を告げた。ダイヤモンドを一周する間、頭をめぐったのはここまで支えてくれた人への感謝の気持ちだった。

 「ケガのリハビリは1人ではできなかった。監督、コーチを含めスタッフ、トレーナーの権田さんの助けがあって早い段階でプレーできている。感謝が大きいです」

 0‐0の四回2死だ。一振りで試合の流れを変えた。チームがノーヒットに抑えられていた中村恭の初球を捉えた。「1打席目、そんな感じは悪くなかったのでどんどん振っていこうと思った」。福留が連敗中の嫌な空気を振り払った。

 5月下旬に大阪市内で受けた左膝の手術では部分麻酔ではなく、全身麻酔を選択した。「手術時間は1時間ぐらい。全身麻酔だったね。だって、想像してみな?嫌だろ?目の前でキューンとかされるの」。繊細なところも見せるが、術後に食事ができない人もいると聞くと「オレは手術当日から普通に食べたよ」とケロリと言った。

 リハビリの準備も決して怠らなかった。遠投する日は練習時間の2時間も前から、肩まわりのトレーニングやストレッチを行った。権田トレーナーは「ケガをしている選手、していない選手も見習うべき姿勢だった」と感服。チームのため1日も早い復帰を望んでいたのは福留本人だった。

 主砲の復活の一打に和田監督も「ここ数日、チームに足りなかった思い切りのいいスイングを福留が見せてくれた。あの一発が非常に大きかった。チームにも本人にも大きい一発だったね」と喜んだ。

 もちろん、福留がもっと本領を発揮するのは、これからだ。「まだまだ完璧にまで戻っていない。悪くなっていくことはないので少しずつ上がっていくと自分に言い聞かせてやっていく」。もう一度、首位・巨人との差を縮め、“可能性”を語れるところまで追い上げたい。そのために、心強い1ピースが戻ってきた。

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