清水 初コンビで藤浪の持ち味引き出す

 「巨人0‐7阪神」(4日、東京ド)

 重圧から一気に解き放たれた。ゲームセットの瞬間、阪神・清水の表情から自然とこぼれた笑顔‐。苦しかった。緊張感に押しつぶされそうになった。それでも最後まで心を折らず、4投手を懸命に引っ張っての完封リレー。マジック点灯を阻止した陰の立役者は、間違いなく清水だ。

 藤浪とはキャンプから通して初めて実戦でバッテリーを組んだ。「晋太郎のいいボールは直球なんで、それをどのタイミングで使うか」。威力十分のストレートを生かすために、頭をフル回転させた。黒田ヘッドコーチが「大成功や」と評したように、ピンチを背負いながらも、要所で強気に懐を突く姿勢は、出場経験が乏しい捕手とは思えなかった。

 七回には1死一塁から左中間を破る二塁打。これが一挙5点を奪う起点となった。先発マスクとして1試合をフルに任されて勝利したのはプロ入り初めて。「勝ったことが一番です。プロ入り初めてなんで」と安どの表情を浮かべる。

 昨季、ファームで背筋痛など度重なる故障に襲われた。リハビリしかできない毎日。だが、清水は同時期にリハビリしていた城島から、勝てる捕手の理論、技術などを懸命に学んだ。

 清水は「こんな細かいところまで見ているんだと思った」と濃密な時間を振り返る。故障にも逆境にもめげずにつかんだ白星。和田監督が「これを財産として成長してほしい」と期待を込めた。この1勝が、飛躍への転機になるはずだ。

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