マートン決めた!来日初のサヨナラ打

 「交流戦、阪神2‐1日本ハム」(25日、甲子園)

 阪神が今季3度目のサヨナラ勝ちだ。ドラマは最終回に待っていた。1点を追う九回、1死一、三塁から暴投で同点。さらに2死満塁と攻め、マット・マートン外野手(31)が右中間へ来日初のサヨナラ打を放った。4番の一打で劇的勝利を収め、交流戦勝率は5割。パ・リーグ相手に今年の虎の底力を見せ始めた。

 うなりを上げる阪神ファン、極限状態に達した聖地のボルテージ。その中で1球、1球、冷静沈着に武田久のボールを追った。4年間で対戦経験はわずか3打席。データもほぼ皆無の中、勝負の1球にマートンの本能が目覚めた。

 九回、同点に追いつきなおも2死満塁の場面。「腕の出どころが他の投手と違った」と低い位置から飛び出してくる武田久のボールに戸惑った。カウントは2‐2。だが4球目までにすべてを見極めた。5球目、外角低めに来た140キロの直球をミスショットすることなく完ぺきに捉えた。

 快音を残し、満月が映える夜空に上がった白球は浜風を切り裂いて伸びていった。前進守備を敷いていた右中間を真っ二つに破った。一塁を回ったところでチームメートから降り注がれたウオーターシャワー。「楽しかった。サヨナラ安打は日本に来てから初めてだからね」と来日初となる歓喜の一打に満面の笑みを浮かべる。

 昨年の帰国直後、日本からの電話が鳴った。声の主はチームスタッフ。用件は就任したばかりの水谷チーフ打撃コーチから託された伝言だった。

 「1年目の打撃フォームに戻せ。そうじゃなければ試合に使えない」

 胸に響いた厳しい言葉‐。長打力アップを目指した2011、12年は確実性を欠き、長打力も影を潜めたことを理解していた。「打者には一番、合った打ち方というものがある。マートンは1年目のが、それなんだよ」。名伯楽の言葉を胸に、帰国直後からバットを振り続けた。イメージしたのは右中間への力強い打球。キャンプ中の打撃練習でミスショットすれば、イラ立ちを隠さなかった。

 徹底して体に染みつけた打球の軌道‐。対戦データもない。特徴も分からない。そんな相手から放った最高の一撃。「本当に気持ちよかった」と誇らしげに語った助っ人の表情には、もう一点の曇りもない。

 「野球は泥にまみれてやるもの」と自らの信念を表すように、額に泥をつけながらお立ち台へ上がったマートン。26日に藤浪が先発することには「ガンバリマショウ!」と力強く日本語で援護を約束した。交流戦の勝率を5割とし、貯金は今季最多タイの9。頼もしい4番がいる限り、猛虎の勢いは止まらない。

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