隼太が化けた!“由伸効果”で特大弾

 「阪神春季キャンプ」(8日、宜野座)

 2年目の飛躍を目指す阪神・伊藤隼太外野手(23)が、シート打撃で右中間本塁打を含む3打数2安打と気を吐いた。明らかな進化を見せつける2011年ドラフト1位を、指揮官は高く評価。成長の背景には慶大の先輩で1月に合同自主トレを行った巨人・高橋由伸外野手(37)の存在があり、レギュラー奪取へ背番号51が確かに変化の兆しを見せている。

 変化の兆しは本物だった。高々と舞い上がり、追い風に乗って右中間スタンドに飛び込んでいった白球‐。だが伊藤隼が白い歯を見せることはなかった。客席から湧き起こった大きな拍手をバックにダイヤモンドを1周しても、決して厳しい表情を崩さなかった。

 「今の時期、結果は関係ないと言われるけど、自分の立場では結果を出していかないといけない。アピールしないといけない」。緊迫感を漂わせる背番号51が見事な放物線を描いたのは鶴と対した第3打席だった。初球、面食らうような107キロのスローカーブ。普通なら見逃してもおかしくないが、どん欲に食らいつき、完璧に右中間席へ運んでみせた。

 「初球、ストレートで待っていて甘い変化球が来た。狙った球ではなかったけど、タイミングを合わせて飛ばせた」。ここに一発の価値がある。昨季、構えたときにトップの位置がつくれず、直球に差し込まれ、変化球にはもろさを露呈した。22試合の出場で打率・148。数字がその事実を物語っている。

 だがステップの踏み方を巨人・高橋との合同自主トレで盗み、今キャンプでは自然とトップが深く取れるようになった。直球待ちでも緩い変化球に対応できるようになり、榎田との対戦では変化球を見極めてからの直球を右前へ運んだ。「手応えを感じながら毎日、できている」

 確かな感触をつかんでいるのは本人だけではない。「直球狙いで打った。あれくらいのものは持ってる選手だけど、初球を打ったことに価値がある。打席の中で攻めているし、躍動感がある」と和田監督は目を細めた。そして「あれだけのものを見せてくれたら、何とか(試合で)使いたい」。

 10日の日本ハム戦は右翼で先発出場する予定。伊藤隼は「実戦につなげないと意味がない」と余韻に浸る様子はない。

 「由伸さんはアップの前の段階からすべてが真剣。自主トレなんで楽しさもあるかと思ったけど、厳しい感じだった。勉強になった」。昨年のキャンプでは笑顔もあった。だが今年は技術だけでなく、顔つきも話し方も明らかに違う。一流打者が厳しく追い込む姿を見て学んだ背番号51。何かが確実に変わり始めている。

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