照ノ富士「うそ~」12勝Vなら大関!

 「大相撲夏場所・14日目」(23日、両国国技館)

 関脇照ノ富士は万全の右四つの体勢から関脇妙義龍に快勝して3敗をキープ。2敗だった横綱白鵬が大関稀勢の里に突き落としで敗れたため、トップに並んだ。千秋楽で白鵬は横綱日馬富士、照ノ富士は碧山と対戦し、ともに勝てば優勝決定戦に持ち込まれる。審判部からは「12勝で優勝なら大関へ」の声が上がり、新関脇から在位2場所で大関昇進の可能性も出てきた。

 こんな展開をいったい誰が予想しただろう。11日目に白鵬に完敗を喫して3敗となった時点で、照ノ富士の今場所後の大関昇進は消滅したはずだった。ところが、この3日間で白鵬が2つも星を落とし、照ノ富士に初優勝の可能性が大きく浮上したのだ。

 出番前に3敗の魁聖、勢が相次いで敗れ、自身も負ければ千秋楽を待たずに白鵬の優勝が決まる公算が大きくなる。絶対に負けられない状況で、照ノ富士の闘志に火がついた。鋭い踏み込みから右四つに組み止めると、一気に寄り立て、土俵際で体を預けて押し出す文句なしの快勝。「思った通りの相撲が取れた。何とか(優勝争いを)千秋楽まで持ち越したい気持ちがあった」と満足そうに話した。

 しかし、白鵬が負けた瞬間、にこやかだった表情が一変。「うそ~」と小声で漏らし、みるみる顔が紅潮した。3敗で並んで千秋楽を迎えることになり、「思い切りいくだけ」と緊張感を漂わせた。

 井筒審判部副部長(元関脇逆鉾)は「12勝で優勝なら大きい。大関にグッと近づくことになる」と明言。1951(昭和26)年1月の吉葉山以来となる新関脇から2場所通過での大関昇進が現実味を帯びてきた。「優勝なら大関に上がる?ホントに。ウソでしょ」と目を丸くしたが、降って湧いたビッグチャンス。何が何でもつかみにいくしかない。

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