鶴竜、綱グイッ!稀勢一蹴で12勝

 「大相撲春場所13日目」(21日、ボディメーカーコロシアム) 

 大関鶴竜(28)=井筒=が綱とりを大きく引き寄せた。難敵・大関稀勢の里を一気の突き出しで破って12勝目。結びの一番で大関琴奨菊に不覚を取った横綱白鵬とついに1敗で並んだ。22日の14日目に、鶴竜は白鵬と大一番の直接対決。勝てば初優勝と横綱昇進に王手をかける。横綱日馬富士は連敗を喫し、優勝争いから大きく後退。ホープ遠藤は高安に敗れて7敗となった。

 綱とりに猛進する鶴竜。先場所で綱とりに大失敗した稀勢の里。大関2人は勢いの差が歴然だった。呼吸が合わず2度の仕切り直しも、鶴竜が冷静に稀勢の里を一蹴した。

 低く力強い立ち合いから相手のほおを張ると右から2度のいなし。そのまま一気に土俵外へ突き出した。前日の日馬富士に続き、過去10勝24敗だった難敵に仕事をさせなかった。

 「しっかり自分のタイミングで立てた。とにかく当たっていく。あとは流れ。動いて動いて、自分の相撲が取れた」。会心の内容にも決して表情を崩さず淡々と振り返った。

 10連勝で12勝目。結びで敗れた白鵬とついに1敗で並んだ。22日の14日目は、その白鵬と直接対決を迎える。

 勝てば横綱昇進の目安「13勝以上の優勝」に王手をかける。それでも「自分の相撲に集中してやるだけ。変わらない気持ちでいきたい」と強調した。

 関取に昇進した頃から朝稽古も私生活も日々のルーティンを決して崩さない。その積み重ねで大一番にも変わらぬ「心」を鍛えてきた。「力みと力を入れることの違いが分かってきた。相手の動きが今は見えている。勝負のツボが分かる」と勝負師として冷静さが綱とりへ最大の強みだ。

 「まだ2日ある。油断せずいきたい」。鶴竜は最大の関門突破へ自らに言い聞かせた。

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