モンゴルの怪物 イチンノロブが受験

 「大相撲九州場所」(11月10日初日、福岡国際センター)

 新弟子検査が31日、福岡市内の病院で行われ、5人が受検した。

 9月の全日本実業団選手権個人を制し、幕下15枚目格付け出し資格を有するアルタンホヤグ・イチンノロブ(20)=モンゴル出身、湊部屋=は体格基準(身長167センチ以上、体重67キロ以上)をクリア。来年初場所で外国出身では史上初となる、幕下付け出しデビューを果たす予定。受検者全員が体格基準を満たし、内臓検査の結果を待って、初日に合格者が発表される。

 モンゴル出身のホープ、イチンノロブが検査場に姿を現すと、立ち会った伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)ら親方衆から「大きいな」とどよめきが起こった。身長190センチ、体重183キロ。関取級の立派な体格だ。

 イチンノロブは「早く関取を目指して頑張ります。横綱になりたいですが、そのためにまず関取になりたい」と抱負を口にした。

 モンゴルの選抜大会で優勝し、17歳で鳥取城北高に相撲留学。5つのタイトルを獲得したが入門先が見つからず、今春卒業後は同高相撲部のコーチを務めた。そして幕下15枚目格付け出し資格をつかみ、堂々と大相撲に乗り込んできた。

 白鵬や朝青龍、日馬富士らのモンゴル勢が都市部出身であるのに対し、イチンノロブは首都ウランバートルから約400キロ離れたアルハンガイ県の草原で生まれ育った遊牧民。実家は羊とヤギを計300匹、馬50頭を飼育し、季節が変わるたび年に4度、バットツェンゲル郡内を移り住む。少年時代から切った木や水を運び、体を鍛えてきた。来日時は「日本には風がない」と驚いたという。

 理事会の承認や就労ビザ取得などが順調に進めば、来年初場所(来年1月12日初日・両国国技館)で史上初となる外国出身の幕下付け出しデビューを飾る。

 親戚にはモンゴル相撲の関脇、先祖には大横綱がいるという血筋。「自分の形をつくって、思い切り前に出て勝ち越したい」。アマを席巻した逸材が、先輩同様に大相撲の世界でも大暴れする。

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