「机の上の本全部ください」医師兼漫画家の前に現れた謎の“富豪” 同人誌の即売会で渡された名刺に驚愕【漫画】

思いがけない場所で、思いがけない縁が生まれることがあります。医師兼漫画家である永田礼路さんは、2022年と2025年の2度、東京でおこなわれた同人誌即売会でベテラン医師から仕事の依頼を受けるという珍しい経験談を描いた作品『同人誌売ってたらまた謎の客が来た』がX(旧Twitter)に投稿されると、10万いいねが集まりました。

2025年のある日、作者が同人誌即売会で作品を販売していると、会場では珍しいスーツ姿の男性が現れました。男性から「とりあえず机の上の本全部買えばいいですか?」と声を掛けられた作者は、2022年の出来事が脳裏をよぎり「医者だ!」と確信します。

話を聞くと、男性医師はこれから出版する書籍の表紙をぜひ作者にお願いしたいと熱く語りました。さらに、男性は作者に依頼をするために金沢から東京まで足を運んだことが分かり、作者はこれは絶対に断れないと感じます。

そもそもの始まりは、2022年の同人誌即売会でのことです。ある男性が作者の本を全種類購入していきました。その後、客足が落ち着いたタイミングで男性は再び現れ、作者に名刺を渡します。そこに書かれている肩書は「日本医学会総会 展示委員会 委員」という医学界の偉い人だったのです。

そして彼は作者に、「日本医学会総会博覧会」というイベントを紹介する広報漫画を描いてほしいと依頼するのでした。

なんと男性は、作者が過去に描いた医療関係の漫画を見つけ、漫画執筆を医師である作者に依頼したいと同人誌即売会を訪れたのだといいます。

作者は、わざわざ畑違いの同人イベントまで来てくれた男性の熱意を無下にできず、依頼を受けることにしました。しかしイベント情報を確認したところ、数カ月にわたって実施されるイベントはすでに始まっているようです。納期に余裕がないことが発覚し、作者は再び衝撃を受けるのでした。

読者からは「ちゃんと本買ってから依頼してて律儀」「事実は小説より奇なり」などのコメントがあがっています。そこで同作について、作者の永田礼路さんに話を聞きました。

■「お前のせいやぞ」とツッコまれた初代爆買神

ー2022年に受けた広報のお仕事はどのようなものでしたか?

2023年4月に開催された日本医学会総会の一般向けイベント「博覧会」の広報漫画を描くことでした。イベントに先駆けて2022年11月から始まった「オンライン博覧会」の広報のため、週に1回、数ページの漫画を描いてX(旧Twitter)に投稿するというものです。

とても大きな催しだったのですが、まだできあがっていないものや専門的すぎる内容をどうにか広報漫画に仕立てていくのがかなり大変でした(笑)

ー2025年に同人誌即売会を訪れた先生は、前回の先生のお知り合いですか?

2025年にご依頼いただいた先生は、前回依頼された先生(初手で同人誌を爆買いされたので、「爆買神」とお呼びしています)と直接の繋がりはありません。前回の広報漫画がバズっていたので、それを見て今回の先生が手法を踏襲されたのだと思います(笑)

ーご担当された書籍の表紙の反応はいかがでしたか?

ご依頼いただいた先生と編集さんに大変喜んでいただきました。書籍自体は高価でガッチガチの専門書なのですが、たくさん拡散していただいたおかげで専門の先生にも目に留めていただいたようです。

初代爆買神からも「バズってますね!」と連絡をいただきました。ただ、初代爆買神は前回の事情を知る他の先生から「お前のせいやぞ」とツッコまれたようです。その通りですよ!(笑)

ー今後、同人誌即売会でご依頼があったらどうしますか?

立派なキャリアの先生方にご依頼いただけることは大変光栄なのですが、現在は商業漫画の連載をしていることもあり、残念ながら新規のお仕事をお受けすることは難しい状況です。あとちょっと心臓に悪いので勘弁してください!(笑)

現在はビッグコミック増刊で『まどいのいきもの』という日常系生物SFを連載しています。基本的に1話完結型で、大真面目に考えたトンチキ架空生物と、胡散臭いお医者さんを中心に据えたオムニバス形式のお話です。5月に単行本1巻が発売されましたので、こちらも是非ご覧になっていただけると嬉しいです!

(海川 まこと/漫画収集家)

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