「侍タイムスリッパー」の安田淳一監督、AI時代のエンタメに意欲「大きな可能性ある」 二条城で上演する新感覚演劇の演出でもAI積極活用

「侍タイムスリッパー」(2024)で日本アカデミー賞をはじめ、世の映画賞を総なめにした安田淳一監督が、京都の世界遺産・元離宮二条城を舞台にした初のイマーシブシアター(没入型演劇)を手掛けることになった。大規模LEDディスプレイによるデジタル映像と俳優による生の演技を融合させ、これまでにない演劇体験を生み出す新たな試みで、主演を務めるのは「東宝シンデレラ」オーディションでミュージカル賞を受賞するなど、活躍の場を広げる山戸穂乃葉(やまと・ほのは)さん。「忍者、侍、陰陽師、女子高生、ダンス、タイムスリップ…全方位的に受ける要素を全部詰め込みました」と自信を覗かせる安田監督と、「世界遺産でパフォーマンスをするなんて今後もうないかもしれないので頑張りたい」と初々しく意気込む山戸さんに話を聞いた。

「城劇 陰陽師瑞希の時空戦記 寛永行幸を救え!」(3月19日~4月19日)。伝説の陰陽師・安倍晴明の血を引く現代の高校生・瑞希が、徳川将軍が天皇を二条城に招く「寛永行幸」を目前に控えた17世紀の京都へタイムスリップし、行幸を阻もうとする異端の陰陽師と戦う物語だ。

■「欠点のないエンタメに仕上がった」

脚本と演出を担当した安田監督は「海外からのお客さんを含め、どんな人が見ても楽しめるようなエンタメを目指しました。映画とは全く違う分野の仕事ですが、実は若い頃に子供向けミュージカルの演出をしていたことがあり、その時の経験と、映画で培ったスキルが上手く噛み合った。欠点のないエンタメに仕上がったという手応えがありますね」と話す。

瑞希役の山戸さんは2022年の第9回「東宝シンデレラ」でミュージカル賞に輝き、2024年上演のミュージカル「魔女の宅急便」では主演に抜擢された実力の持ち主。歌とダンスは小学5年生の時から習っていたといい、今回もその才能が存分に生かされることになりそうだ。「安田監督とは初めてご一緒するのですが、演出指導がロジカルでわかりやすく、すごくやりやすいです。『侍タイムスリッパー』は家族で見て大爆笑しました」と信頼を寄せる。

その「侍タイムスリッパー」で一躍時の人となった安田監督は「世の中の映画監督が欲しいと思う賞はほとんどもらった」と嬉しそうに振り返る。「普段よく行くスーパーで声を掛けていただくこともあり、もう悪いことはできないですね。サウナで水風呂に入る前は必ず水を浴びなければ…とか、今はものすごく品行方正です。まあ、もともと悪いことなんてしてませんでしたけど(笑)」

■制作にAIフル活用「この流れは止まらない」

安田監督は今回、チラシのデザインやキャストの写真撮影などもこなしているほか、なんと劇中の音楽まで自ら制作している。音楽の素養があるのかと訊ねると、胸を張って「ない」と即答。全て生成AIに作らせたのだという。

「上演時間は35分の予定で、使う楽曲は20曲ほどですが、そのために300~400曲は作ったでしょうか。期待していた以上に素晴らしい、そしてイメージ通りの曲がどんどん生成されるので興奮しました。本職の方に同じことをお願いしたら、とんでもないギャラが必要になります。AIは自分にとってひとつの“賭け”でしたが、大きな可能性を感じました」

「AIはいずれ映画作りのあり方も変えていくでしょうね」と語る安田監督。「作り手としてはもう諦めるか、そうでなければ生き残るために適応するしかない。だから勉強しておかないといけないんです。私は『侍タイムスリッパー』を作った2年前の時点で、『カメラで映画を撮る時代に間に合ってよかった』と思っていたくらいですから。もうこの流れは止まらないでしょう」

AI、最新テクノロジー、そして生身の俳優が織り成す迫力のパフォーマンス「城劇 陰陽師瑞希の時空戦記 寛永行幸を救え!」は期間中、1日2公演(18時45分~19時20分/20時~20時35分)。チケットは入城料金と観劇のセットで中学生以上3400円、小学生2600円(いずれも前売、平日開催分)など。未就学児は無料だが、座席使用の場合は小学生料金で購入する。休演日など詳しい情報は公式サイトで。

(まいどなニュース・黒川 裕生)

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