3年前の事故で後遺症がある少女→自分だけにしかえ見えないモノが…… 母が隠していた「事実」とは【漫画】
世の中には、事故で後遺症を残してしまった人もいます。しかし、ときには失ったものを取り戻すこともあるかもしれません。漫画家・宙埜つきさんの作品『色彩が分からない私だけに見える友人』では、事故の後遺症で色がわからない主人公の苦悩が描かれています。同作はX(旧Twitter)に投稿されると、約8,500ものいいねが集まりました。
色彩がわからない主人公・彩乃は、ある日この学校に転校してきます。自己紹介に緊張する彩乃の後ろには、彩乃にアドバイスしようとする『宙に浮かぶ少女』がいました。後ろからしつこくささやかれる声に堪えた彩乃は、「うるさい」とつい言ってしまいます。
彼女の名前はモノ、彩乃だけに見える『厄介な空想』です。彩乃は3年前事故に遭い、記憶喪失となるのと同時にモノが視えるようになりました。今回転校したのも、自分が知らない環境がすべて気味悪く『やり直したい』と思ったからでした。
しかし、彩乃が新たな友達と会話しているなかでもモノがしつこく会話を挟むため、つい友達の前で「だからうるさいと言ってるでしょ!」と大声を張ってしまいます。突如叫んでしまった彩乃は、学校から逃げ出してしまいました。
母は優しいけれど彩乃を腫れ物のように扱い、疎外感を感じていました。
そんなある日、彩乃は母が「あの部屋の鍵を二重にしておこうと思う」と話すところを目撃します。モノは「この部屋に入ってみようよ」「この部屋には彩乃の過去が隠されてる」と言いますが、彩乃は「家族と揉めたくない」と否定しました。
しかし、その後にモノから「彩乃は過去に向き合わなきゃ」と説得されたことで、綾乃はこの部屋に侵入します。そこにはおもちゃやアルバム、仏壇…そしてモノの絵が飾られていたのです。
実は彩乃には、色がわからない妹・優香がいました。そこで優香が「彩乃と一緒の色で見れる2人の友達」として描いたのがモノだったのです。
ある日、彩乃と優香は車に轢かれてしまいます。優香は命を失い、彩乃は後遺症で『記憶』と『色』を失いました。
記憶を取り戻し、急いで優香の墓に向かった彩乃。そこでモノは「あたしはおねえちゃんの話すカラフルな世界の話が好きだった」と語りかけます。
モノの正体は亡くなった優香でした。優香は「思い出してくれてありがとう。ずっとなかよしでいようね」と彩乃の瞳に『色』を灯し、空へと消えていきました。両親があの部屋を隠していたのは、彩乃につらい思いをさせたくないからだったのです。
それから彩乃にモノは見えなくなりましたが、モノはいつもそばで見守っているようです。
読者からは「すごく素敵な作品だった…」「色がついたシーンが良すぎた」などの声が挙がっています。そこで、作者の宙埜つきさんに話を聞きました。
■物語に『色』が付くシーンに注目してほしい
-『色が見えない』設定と、モノクロとカラーを分けた表現がとても魅力的でした。この作品を描こうと考えたきっかけを教えてください
大学時代、ドイツ映画についてのレポートを書くために観ていた『ベルリン 天使の詩』で、物語の途中から世界がカラフルに変わる演出に惹かれました。この表現を漫画に落とし込んだら面白いのではないかと考えたのが最初のきっかけです。
そこから発想を広げ、漫画ならではのモノクロ表現と相性のいい設定として「色覚異常」というテーマで物語を描いてみようと思いました。
-同作でとくに注目してほしい場面やコマなどがありましたら教えてください
やはり、物語の中で色がつくシーンにはいちばん注目してほしいです!
ただ、その瞬間だけでなく、前後の流れも含めて大切に描いています。モノの「思い出してくれてありがとう。ずっとなかよしでいようね」という場面や、彩乃が「空ってこんなに綺麗だったんだ……」とつぶやくシーンの表情はこだわったので、ぜひ見ていただけたら嬉しいです。
(海川 まこと/漫画収集家)





