「繁忙期なのに困るよ!何とか来れないの?」40℃の高熱で休む社員への“出勤圧力”はパワハラ?【社労士が解説】

会社員のAさん(30代男性)は、仕事からの帰り道で身体の異変を感じ始めます。関節に痛みがあり、身体を温めても悪寒は消えません。体温を測ってみると40℃の高熱。困ったAさんは、市販の風邪薬を服用しましたが、翌日になっても熱は引かず、Aさんは仕事を休むことにします。

フラフラになりながら上司に休むことを連絡をすると「繁忙期なのに困るよ!何とか来れないか?」と言われてしまいます。最終的に休みを認めてもらいましたが、翌日出社すると「体調管理も仕事のうちだ」と叱責されてしまいます。

Aさんは「高熱で休んだ自分が悪いのだろうか」と考えつつも、職場への不信感も募らせていくのでした。実際にこうした上司の叱責は適切なのでしょうか。社会保険労務士の小島朋子さんに話を聞きました。

■出勤の強要はパワハラになる可能性 

ー体調不良で休んだ従業員を叱責する行為はハラスメントに認定されますか?

労働安全衛生法第3条では、事業者は「労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない」とされており、また、労働契約法第5条(安全配慮義務):会社は従業員の健康を守る義務があり、無理な出勤を強要するとパワーハラスメントや違法行為になる可能性があります。

ー無理に出社させた場合、会社にはどんな責任が生じる可能性がありますか?

会社側が、体調不良を訴えている従業員を無理やり働かせる行為は、労働契約法第5条違反となる可能性があります。

仮にインフルエンザ等感染症に感染した従業員を無理に出勤させた場合、他の従業員への感染リスクを高め、安全配慮義務違反にも該当する可能性がでてきます。また、発熱をしているにもかかわらず出勤を強要された場合は、労働契約法第5条に違反している可能性があることを伝えて休めるように要求します。

ー企業側はどのような体制整備をするべきでしょうか?

従業員が病気休暇を希望した場合に、感染症であれば感染が分かるもの(病院や薬局の領収証)の提出を求めるなどのフローを決めておいた方が良いでしょう。必要であれば会社の就業規則をもとに、診断書の提出を求めることもできます。

◆小島朋子(こじま ともこ)社会保険労務士/社会保険労務士事務所ホライズン代表

千葉県を拠点に活動する社会保険労務士です。障害年金の代理請求を中心に、法人向けには労務に関する各種ご相談、給与計算業務や給与ソフトの導入・設定確認を承っております。会社と人との良好な関係を築くためのサポートをいたします。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)

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