無残に見捨てられた2匹の子猫…「一緒に迎えようよ」家族の後押し 正反対のキャラクターが本当の姉妹のように強く結ばれるまでの軌跡
元保護猫のキジトラ女子ふたりは、今、Xユーザー・ねここさん(@mickaetsuba)家族と穏やかな日々を過ごしています。幼いころにそれぞれ別の場所で保護された「楓(かえで)」ちゃん(5歳)と「椿(つばき)」ちゃん(5歳)。境遇の違うふたりが、同じおうちで“姉妹”のような絆を育むまでの道のりとはーー
■SNSがつないだ子猫との出会い
楓ちゃんと椿ちゃんを迎えるきっかけは、保護団体のSNS投稿でした。これまで九官鳥や犬など、さまざまな動物と暮らしてきた飼い主さんですが、猫との生活は今回が初めて。そんななか、ある一枚の写真が心を大きく揺らしたといいます。
「保護団体さんのSNS投稿で椿の写真を見たとき、かわいらしさに一目惚れしたんです。『この子を迎えたい』と思い、長男と三男と一緒にシェルターに会いに行きました」
ただ、その日は椿ちゃんが風邪をひいており、会えた時間はわずかでした。そこで、ふと視線が止まったのが、同じく保護されていた楓ちゃんだったといいます。
「楓はとてもおとなしく、私たちに威嚇することもなく触らせてくれました。猫を迎えるのは初めてだったので、人懐こい楓なら早く家に馴染んでくれるのではと思い、譲渡を希望することにしたんです」
ところが帰宅後、家族のひと言がふたりの未来を大きく動かします。
「夫に話すと『2匹一緒に引き取ってもいいんじゃない?』と言ってくれて…。すぐに保護団体さんへ連絡し、楓と椿を一緒に迎えたいと伝えました」
当時、楓ちゃんは生後6カ月、椿ちゃんは生後4カ月。こうして、境遇の異なるふたりは、同じおうちで新しい暮らしを始めることになったのです。
■初対面でシャーッ! てんてこまいの日々がスタート
ふたりの生活は、まず楓ちゃんがひと足先に家へ来るところから始まりました。
「楓は到着してすぐソファの下に潜り込み、しばらく出てきませんでした。おもちゃやおやつで誘っても動かず、ご飯も食べてくれなかったので、保護施設の方に相談しながら見守っていました」
ご飯の種類を変えると少しずつ食べるようになったといいます。
そうして、楓ちゃんがようやく家に慣れてきたころ、体調が回復した椿ちゃんがやって来ました。
「椿は来た当初こそ『シャーッ』と威嚇することがありましたが、人間にはすぐに馴染んだ印象です。ただ楓がなかなか受け入れてくれなかったため、最初は別々に過ごさせ、距離を縮めるようにしていました」
数日もすると、ふたりは互いに毛づくろいをし合う仲に。まるで姉妹のように寄り添う姿が日常の光景になっていきました。
そんな穏やかな日常の裏で、楓ちゃんが突然、体調を崩したこともーー
「楓を迎えて約3カ月後、体調が優れない様子が続きました。朝、布団にたくさんの白い粒が残っていて病院へ行くと、マンソン裂頭条虫と壺型吸虫が見つかったんです。お腹の中に寄生し卵を産んでいたそうで…本当に大変でしたが、幸い、無事に治療を終え、椿に感染ることもなくホッとしましたね」
一方、椿ちゃんも家での暮らしに慣れるにつれて、やんちゃぶりを発揮。飼い主さんを心配させる瞬間もあったそうです。
「家の中でよく姿を見失い、何度も探し回りました。次男のベッドで熟睡していて、声をかけても動かないので『生きてる?』と焦ったこともあります。揺すると目を開けて『にゃあ~』と言われ、ただ熟睡していただけだとわかって胸をなでおろしたのを覚えています」
■正反対の性格なのに“姉妹”のように寄り添うふたり
現在5歳になった楓ちゃんと椿ちゃん。ふたりは性格も行動もまったく異なりますが、その違いが日々の彩りになっているといいます。
「楓はおっとりしていて、普段はとても落ち着いています。あまり鳴かず、バタバタと走り回ることもほとんどありません。知らない人が来ると最初は隠れることがありますが、しばらくすると落ち着いて過ごせるようになります」
一方の椿ちゃんは、真逆の気質。にぎやかで遊ぶことが大好きな元気っ子です。
「椿は活発で遊ぶのが大好き。部屋中を元気に走り回り、よく鳴きます。『いったい何をそんなに話しているの?』と思うほどで、ふと『犬みたいだな』と感じることもあるほどです。ただ、知らない人はとても苦手で、工事などで家に人が入るだけでケージが揺れるほど震えてしまいます」
そんな正反対のふたりですが、時間をかけて“家族”になっていきました。
「ケンカをしつつも寄り添って眠るーー血のつながりはありませんが、まるで本当の姉妹のような関係になりました。『一緒にお迎えして良かった』と思います」
楓ちゃんと椿ちゃんは、日常に彩りと癒やしを与えてくれています。
「私たちを信頼し甘えてくれる姿を見ると、とても愛おしく感じます。猫ならではの仕草や動きに驚くこともありますが、それがたまらなくかわいいですね。改めて、楓と椿には感謝の気持ちでいっぱいです。これからも健康で、少しでも長くそばにいてほしいと思っています」
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)





