隠れて震える子猫2匹を保護→「猫は飼わない!」と、夫と息子が反対 強行したら180度激変「メロメロです」
毎年、8月8日は「世界猫の日」。「猫と人が、もっと幸せに生きられる未来を」と願って制定された記念日です。今から4年前、その特別な日に、資材置き場に取り残された小さなきょうだい子猫が救い出されました。のちの「シンバ」くん(男の子)と「ナラ」ちゃん(女の子)です。すべては、Xユーザー・シンバとナラさん(@simba_nala_0808)の娘さんが、偶然ひとつのストーリーズ投稿を見つけたことから始まりました。
■SNSで「子猫2匹いるのだけれど…」 保護に走った母と娘
2021年8月8日、飼い主さんの娘さんの友人が、夜にウォーキングをしていた際、子猫2匹を発見。資材置き場の荷台のようなところの下に隠れ、鳴いていたといいます。
「友人の家にはわんちゃんがいるため子猫を連れて帰れず、どう保護すればよいのかもわからなかったので、SNSのストーリーズに投稿したそうです。それを娘が目にして『私、行ってくる!』と言い出したんです。当時、夫の方針で我が家では動物を迎えないことになっていました。夫が愛犬を亡くした経験から、別れのつらさを味わっていたためです。このときも夫は『保護してもうちでは飼えないから、里親さんを探すんだよ』と言い聞かせていました」
翌日、台風が近づくという予報があったため、飼い主さんと娘さんは「せめて保護だけでも」と車で現地へ向かいました。途中、コンビニで段ボール箱を譲ってもらい、30分ほど車を走らせると、資材置き場に到着。子猫たちの姿を探しました。
「荷台の下をのぞくと、子猫がこちらを見ていました。それが、シンバとナラ。当日、生後推定4週間ほど、体重450グラムあるかどうかというほど小さかったです。辺りはもう暗くなっていました。おやつで『出ておいで』と誘うと、ナラはすぐ出てきましたが、シンバはなかなか出てこようとしません。根気よく誘い続けたところ、ようやく2匹とも無事に保護することができました」
そうして、飼い主さんと娘さんは段ボール箱に子猫を入れ、車で帰途につきました。車内では、ナラちゃんが必死によじ登って出ようとする一方、シンバくんはおとなしく様子をうかがっていたといいます。
帰宅した頃には深夜になっていたため、そのまま段ボール箱で過ごしてもらうことに。しかし、シンバくんが静かにしているのに対し、ナラちゃんは鳴きながらよじ登ろうと奮闘します。飼い主さんは、朝まで見守ることにしました。
「段ボール箱にフタをすることもできましたが、それはかわいそうで…。また、万が一ケガをしたり事故が起きたりする可能性もゼロではないので、そばで見守ることにしたんです。小さなふたりを見ているうちに、私は『こんなにかわいらしい子たちを手放せない』と思うようになっていました」
■「猫は飼わない」と言ったけれど…家族をメロメロにした子猫たち
翌朝、起きてきた夫は、リビングにいる2匹の猫を目にしてびっくり。そして、明らかに怒っていることがわかったといいます。
「夫曰く、娘はこれまでずっと『猫と暮らしたい』と言っていたので、こっそり連れて来たと思ったのだそうです。取り急ぎ、夫には昨夜の出来事について説明しました。そして、『動物病院へ連れて行くだけだから』と伝えたのです」
病院では、先生から「外にいたわりには汚れていないし、栄養状態も悪くない。おそらく最近までは母猫が一緒にいたのかもしれないね」と言われたといいます。
「里親さんを探すにはどうしたらよいか尋ねると、『病院ではそうした対応をしてないので、保護団体に連絡してみるとよいのでは』と教えてくださったあと『もしできるなら、このまま家族として迎えてくれるのが一番いいのだけれども』ともーーそのときには、私も娘も、ふたりを迎え入れようと心は決まっていましたね」
飼い主さんたちは、病院からの帰り、お店に立ち寄って猫に必要なものを購入して帰宅しました。
「夫を説得して、シンバとナラは我が家の一員になることが決まりました。そのときは気づかなかったのですが、あとから振り返ると保護した8月8日は世界猫の日。『素敵なご縁が訪れたな』と、しみじみしました」
当初は「リビングから出さないで」と子猫たちを迎え入れることに難色を示していた夫と息子は、そう時間もかからず、シンバちゃんとナラちゃんの愛らしさにメロメロになっていったそう。
「激変といっていいくらい、夫と息子はふたりをかわいがるようになりましたね(笑)。家族みなが、シンバとナラのためにおやつやおもちゃを買うようになり、毎日、これでもかというくらい写真や動画を撮って、それぞれのスマホのなかはシンバとナラでいっぱいに。生活も、すっかり“猫ファースト”へと様変わりしました」
飼い主さん家族は、シンバくんとナラちゃんがおうちで安全に暮らせるよう、猫にとって危険だと思われるものを撤去し、脱走防止扉を設置しました。また、なるべく家を空けないように心がけています。変わったのは生活だけではありませんでした。
「娘が猫と暮らしたいと言い続けていたので、たまにペットショップをのぞくことがありました。そしてテレビなどで保護活動のことや、今もたくさんの子たちが里親さんとの出会いを待っていることを知るようになったんです。シンバとナラに出会ったのは、ちょうど保護猫や保護犬に関心を持ち始めた矢先のことでした」
シンバくんとナラちゃんをお迎えしたことをきっかけに、飼い主さんはふたりの成長ぶりを自身のSNSで発信するように。そこで、同じように猫と暮らす人たちと出会いました。
「みなさんのかわいい猫ちゃんたちに日々癒やされています。心配ごとやわからないこと、保護活動の現状などを教えてもらうなど、ご縁に恵まれました」
■頼れる姉と無邪気な弟、寄り添い深まる家族の絆
シンバくんとナラちゃんは、現在4歳を迎えました。きょうだいながら、それぞれの個性はくっきり。お互いを支え合うように、バランスのとれたきょうだい関係を築いているそうです。
「シンバはちょっぴり臆病な甘えん坊。ナラのぶんのご飯まで食べてしまう食いしん坊でもあります。ナラにちょっかいをかけては怒られています。シンバのしっぽは『幸せのカギしっぽ』なんです。たくさんの幸せをしっぽに引っかけて、うちに来てくれました」
小学生の男の子のように元気いっぱいで天真爛漫なシンバくんに対して、ナラちゃんはクールなお転婆娘なのだとか。おもちゃにはあまり興味がないそうですが、あるものには心ひかれるようでーー
「ナラちゃんは鳥が大好き。窓の外に鳥を見つけると『カカカッ』とクラッキングして、おしゃべりします。保護時から現在までふたりの様子を見ていて、我が家ではナラがお姉さん、シンバが弟ということになりました。保護前、ほかにもきょうだいがいたのかもしれませんが、きっと保護するまでナラはお姉さんのように弟のシンバを守っていたのではないだろうかと想像させるやり取りがよく見られるんです」
シンバくんは自分の感情に一直線。ご飯や遊ぶときも、我先にと夢中になるタイプ。一方、ナラちゃんは、そんなシンバくんに何かと譲ってあげることが多いそうです。その気づかいや立ち居振る舞いはまさにお姉さんのよう。
ふだんはしっかり者のナラちゃんですが、シンバくんは見せないある行動をするのだとか。
「ナラは膝の上や眠るとき、前足でふみふみするんです。きっと本当は甘えん坊なんだと思います。いつもは一歩引いて行動するナラが、ふみふみする姿は愛おしくてたまりません」
あの人気のない資材置き場で身を寄せ合っていたきょうだいは、今、“ずっとのおうち”で穏やかな日々を過ごしています。安心できる環境にいてもなお、ふたりはいつもぴったりとくっついて一緒。家族との絆も深まっています。
「ふかふかのベッドをふたつ用意しても、ひとつのベッドでくっついて眠る姿を見ると癒やされます」
最後に、飼い主さんがふたりへ伝えたい言葉とはーー
「『出会ってくれて、うちの子になってくれて、元気にすくすく育ってくれてありがとう』という感謝の気持ちでいっぱいです。『毎日楽しく幸せに過ごしてもらえるよう、これからもたっぷり愛情を注いでいくから長生きしてね。愛してるよ』と伝えたいですね」
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)





