食欲も元気もあった愛猫が数日で500g減 再検査で判明した難病「肝アミロイドーシス」…診断からわずか1週間で天国へ

「異変に気づいてからは10日ほど、病名が判明してからは1週間で天国へ旅立ちました。異変を感じてからの進行の速さは、まるで砂が指から抜け落ちていくようで成す術がありませんでした」

愛猫ぺこゆきくんの闘病を、そう振り返る飼い主さん(@nekowassyoi)は田舎の集落で野良猫の命を繋ぐ“地域猫活動”を行っており、日常をYouTubeで公開している。

ぺこゆきくんは猫の難病「アミロイドーシス」と診断され、3歳半でニャン生を終えた。

■愛猫の“体重の減少”に不安を抱いて動物病院を受診したら…

10年ほど前から個人で地域猫活動を行っている、飼い主さん。ハンデがある猫や外では冬を越せないであろう猫たちは自宅に迎え、最期まで命を看取ってきた。

ぺこゆきくんは、2021年の冬に迎えた元野良猫だ。他の子より体は2回りほど大きいのに、愛猫たちの中で1番気が小さく、怖がりだったという。

「ビビりだけど、私と夫にはベッタリな甘えん坊さん。私がトイレに行くと、扉を閉める前に入り込み、膝の上でフミフミしながら私を甘噛みするのが大好きでした」

異変が見られたのは、2025年3月28日。食欲はあり、他の子たちと走り回るなど、行動に変化はなかったが、日課であるトイレでの膝乗り時に体重が軽いように感じた。そこで、実際に体重測定すると、数日間で500gほど減っていることが発覚。

「全身をくまなく触ると、普段よりも骨を感じたので、ただごとではないと思って動物病院へ行きました」

ぺこゆきくんは口や耳の中、白目にやや黄疸が出ており、「肝リビドーシス」と診断された。ただ、肝リピドーシスは食欲不振が続くことで肝臓に脂肪が過剰に蓄積し、肝機能が低下する病気であるため、飼い主さんは違和感を覚えたという。

「ご飯は食べているのに、おかしいな…と。でも、食欲があっても食べる量が減ると肝リビドーシスになる子もいると先生に教えていただいたので納得し、しばらくは高栄養食をあげて様子を見ることになりました」

■愛猫を襲ったのは、猫の難病「肝アミロイドーシス」だった

しかし、それから2日ほどかけて、ぺこゆきくんは食欲不振に。不安になり、再診すると、獣医師も違和感を抱いたようで、即入院となった。点滴や肝臓薬などを投与して回復を目指しつつ、採取した血液を詳しく調べたという。

すると、検査の結果、「肝アミロイドーシス」である可能性が高いことが判明する。アミロイドーシスは、アミロイドという異常なタンパク質が臓器に沈着して機能障害を起こす病気だ。

アミロイドーシスは全身のあらゆる臓器にぺこゆきくんの場合は沈着するが、ぺこゆきくんの場合は肝臓に異常に蓄積する「肝アミロイドーシス」である可能性が高いと診断された。

ちなみに、猫のアミロイドーシスは原因が特定できない特発性のものもあるが、遺伝的要因や慢性鼻炎などの慢性的な炎症が発症の引き金になることもあると言われている。

「ぺこゆきは喘息持ちだったので、そうしたことも発症に関係していたのではないかと思っています」

病名の確定診断には細胞診という検査をする必要があったが、アミロイドーシスによって、もろくなった肝臓から細胞を採取するのは非常に難しい。採取時に大出血をして亡くなる可能性がとても高いからだ。

「ただ、先生からは『肝アミロイドーシスで、ほぼ間違いないと思います』と言われました。生きている子でアミロイドーシスが見つかることは稀で、先生も過去に2件しか診たことがなかったそうです」

■病名の診断から、わずか1週間で天国へ…

猫のアミロイドーシスは難病であり、現代の医学では治療法が確立されていない。ぺこゆきくんの場合は入院し、点滴で肝臓の薬などを投与しつつ、経鼻カテーテルで栄養を補給して肝臓の回復を目指すことになった。

飼い主さんは毎日、お見舞いに行き、奇跡を願ったという。

だが、ぺこゆきくんは呼吸が苦しそうな様子を見せるように。白目や口、耳の黄疸は強くなり、尿は蛍光の黄色になった。そんな状態でも、飼い主さんがお見舞いに来ると顔を上げ、手を甘噛みして小さく「ぺぇ」と鳴いてくれたという。

このままでは、ひとりで逝かせてしまう。そう思い、飼い主さんはぺこゆきくんを自宅へ連れ帰る決断をした。

「帰宅後はリビングの真ん中にふわふわマットを敷いて、みんなで寝転びました。1時間ほど経った頃、ぺこゆきは大きく息を吐いて旅立ちました。ギリギリの判断でしたが、ひとりにさせなくてよかった」

愛猫のアミロイドーシスを目の当たりにした飼い主さんは、自分たちが得た情報がアミロイドーシスの早期発見に繋がることを願っている。

「現代の医学では、亡くなってから解剖や細胞診をしてアミロイドーシスが判明することがほとんどだそうです。だからこそ、喘息や鼻炎などの慢性的な炎症がアミロイドーシスの発症には関連がある可能性があるということを知識として知ってほしい」

ぺこゆきくんが教えてくれた、アミロイドーシスの怖さと向き合い方。多くの人に届き、病気の早期発見に繋がることを心から願う。

(愛玩動物飼養管理士・古川 諭香)

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