SNSで、ドジを報告したら→想定外のアドバイスが届き…? 職人に伝えたら3日で完成、新商品のきっかけに

ネクタイ工場が作ったシュシュに注目が集まっている。

制作したのは岡山県津山市の株式会社笏本縫製。ネクタイと同じシルク素材を使用し、ハリのある質感が魅力の商品だ。主なターゲットは男性であるネクタイ工場が、なぜシュシュの制作に辿り着いたのか。話題の理由は?代表取締役の笏本達宏(X: @shakunone)さんに詳しく話を聞いた。

--制作のきっかけは?

笏本:GW中の休日にうっかり会社に出勤してしまったことをXに投稿したらバズったんです。溢れるコメントの中に、「女性でも使える商品を作ってほしい」という声を見付け、翌営業日に職人さんたちに伝えました。するとその場の雑談から「シルクって摩擦少ないよね」「ネクタイとおそろいにできるのでは?」などの声が上がり、新商品の開発が始まりました。その一瞬、工場の空気が熱を帯びたのを今でも覚えています。そのわずか3日後、ネクタイシルクのリボンシュシュが完成しました。

--素晴らしい職人さん達ですね。

笏本:心から感動しました。誰に言われるでもなく、「楽しいが~!」と言いながら試行錯誤して作っていました。これが“ものづくり”の本質かもしれない。スピード感とクオリティを両立できることにも改めて感動。誰かの声に耳を傾けて、即日サンプル、その翌日に縫製開始。たった数日で商品化できたのは、積み重ねた技術と信頼があったからこそだと考えています。

--女性たちからのリアクションを見て思ったことは? 

笏本:ネクタイは男性的なアイテムですが「おそろいで使いたい」「結婚記念日に贈ります」「推し活にぴったり!」などのコメントが集まり嬉しかったです。世界がぐんと広がる感じがしました。

--御社は小さな町工場だそうですが、この一件で感じたことは?

笏本:奇跡のような数日間。ネクタイ工場の弊社は毎年、結ぶ機会が減る夏は不安との闘いになります。でも今年はちがう。素材や技が新たなカタチで光を浴びたことで、職人の手が止まることがない日々を過ごしています。

大赤字で倒産寸前、先代から「継がないで」と言われた家業でしたが、自社ブランドの立ち上げなど挑戦を続けてきました。発信を続け、総理大臣やアメリカ大統領などにも届いたことが私たちの誇り。きっと誰かの心に残るものづくりができると信じています。

◇    ◇

SNSでは「息子とおそろいにできる!」「和装にも合いそう」「ロングヘアの男性も良いのでは」などの声が集まった。現在、予約販売を受付中とのこと。スーツのオーダー会なども実施しており、予定はXで告知される。腕のいい職人とともに岡山県津山市で頑張る町工場の奇跡、今後の展開に期待したい。

(まいどなニュース特約・米田 ゆきほ)

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