「殺処分になるくらいならうちで飼う」民家の前で鳴いていた猫、なでるとついてきた…愛犬が亡くなって間もなくの出会いに運命感じる

たまおくん(雄)は、10歳は超えているというシニア猫。今年(2022年)5月、愛知県に住む「たまお母(はは)」さんが友人との昼飲みの帰り、バスから降りて自宅に向かう途中に出会った猫でした。

「家までの15メートルから20メートルのところだったでしょうか。あるおうちの玄関先でニャーニャ-と鳴いている猫がいたんです。こちらに顔を向けて目が合うと、私も思わず酔っぱらいながら『おいで』と声を掛けたら近付いてきたのでなでてあげました」

当時から人懐っこかったというたまおくん。首輪をしていたので、どこかで飼われている猫だと思ったたまお母さんはなでた後に「じゃあね」とお別れしたのですが…ついてきたといいます。自宅マンションに到着。一緒に階段を登り、玄関のドアを開けるとそのまま部屋の中に。トイレにまで入ってきたとか。困ったたまお母さんは、たまおくんを抱っこして近くの交番に連れて行ったそうです。

■警察官「猫をご自宅にお連れいただくか、あるいは動物愛護センターに引き渡すか…」

しかし、交番の警察官から「(警察で)預かることはできません。猫をご自宅にお連れいただくか、あるいは動物愛護センターに引き渡すかのどちらかです」と選択を迫られたとのこと。たまお母さんは愛護センターに連れて行ったら殺処分されるかもしれないと思い、自宅に連れ帰ることにしました。

「実は私も子どもも猫アレルギーを持っていて、当初は飼うのは難しいと思いました。たまおを連れ帰った後、猫を多頭飼いしている近所の人に連絡をして預かってもらえないかお願いしたんです。でも、『これ以上は飼えない』と断られました」

そこで、まずは飼い主を見つけることが先決だと思ったという、たまお母さん。SNSを通じて迷い猫を探すサイトなどに投稿したり、近所で聞き込みをしたりと飼い主を探しました。近所の人によると、たまお母さんがたまおくんと出会った日の数日前からいろいろな家の庭に現れてニャーニャー鳴いていたといいます。結局、飼い主の手がかりが見つからず。保護せざるを得ない状況となったのです。

「保護した責任もあるので、以前飼っていたこんぶ(犬)のかかりつけ医にたまおを診てもらいました。すると、マイクロチップが首の後ろ側に埋め込まれていたことが判明。でも情報登録されておらず、飼い主が分かりませんでした。どうもマイクロチップを入れただけで情報登録を済ませていなかったようです」

■保護した猫、数カ月後に飼い猫に 猫アレルギーだったが…

それから飼い主からの迷い猫の届け出もないまま数カ月が経った9月。警察の遺失物係から拾い主であるたまお母さんのところに、たまおくんの「飼い主(所有者)になれる」との受領書が送られてきました。猫アレルギー持ちのたまお母さんでしたが…。

「過去に実家で猫を飼っていたとき、途中から猫と接触するとぜん息の発作が出るようになりました。それも30代と大人になってからの猫アレルギー発症。ただ、今はぜん息の予防薬の吸入で発作が起こらないようにしています。息子もアレルギー持ちですが、『愛護センターで殺処分になるならばうちで飼ってあげたい』とも言われて。発作を抑えながら、たまおを飼うことを決めました」

猫アレルギーによるぜん息の発作に気を付けながら、たまおくんを家族にお迎えすることになったのです。

  ◇  ◇

■愛犬が死んで間もなく猫との運命の出会い「ねこねこネットワークの仕業?」

保護当時、体重が3キロほどしかなくてやせていたというたまおくん。今では、5キロ近くにまで増えたとか。名前の由来はというと…「たまたま見つけて、たまがなかったから」とのこと。

「去勢手術済みで、マイクロチップを入れたりしていましたから、おそらく大切に飼われていたのではないかと推測します。もしかすると飼い主さんが急死か何かで、家から飛び出してしまったのか…飼い主さんから離れてしまって、外でさまよいながら誰かに早く拾ってほしかったんだと思います」

そんなたまおくんと出会う前の1月、愛犬が「亡くなった」といいいます。ミニチュアピンシャーこんぶくん。16歳10カ月の男の子でした。

「心臓肥大で通院をしていたこんぶ。年明け前から体調が悪く、何とか年を越したものの静かに息を引き取りました。直後はとても気持ちが落ち込んでいましたね。動物を飼うことはしばらくないかなと思っていたのですが、5月にはたまおと運命の出会いがあったのです。猫好きのところに猫を派遣する猫派遣組織「NNN」(ねこねこネットワーク)の仕業じゃないかと思ったり(笑)。引っ掛かれたこともかまれたこともない、シャーもいわない。たまおは本当に穏やかでかわいい子です。NNNさんにありがとうといいたいですね!」

今一番気がかりなことは、たまおくんの歯周病とのことですが…昼間の留守中、猫の見守りカメラを見るとたまおくんはおうちのソファでくつろいでいたり、自分のベッドで寝ていたり。ゆったり幸せそうな顔をして過ごしているようです。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

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