壊死寸前で3本脚になった猫、譲渡会で引き取り手おらず 子どもの「家族になりたい」というひと声で、今はみんなの癒しの存在に

■左後脚を断脚、3本脚に

モナちゃん(1歳10ヶ月)は、大阪府大東市で活動する保護猫団体「ねこ心」が保護した。餌やりさんから、田んぼに母猫が子猫を連れてやってくるという相談があったという。ボランティアが母猫を捕獲し、不妊手術をしてリターンした翌日に3兄妹の子猫たちが保護された。

モナちゃんはそのうちの1匹だったが、左後脚の骨が剥き出しになっていて壊死寸前。体重も1匹だけ軽かった。ボランティアに保護されてからは、手術できる体重になるまで入院し、募金と保護主の資金で断脚手術をした。退院後、体調が安定してから一度だけ譲渡会に参加したが声が掛からなかったという。

■知らぬ間に成長していた子どもたち

大阪府に住む冨士さんは知人が保護猫の里親になったのをきっかけに保護猫に関心を持った。もっと保護猫のことを知りたいと思って譲渡サイトを見たら、「3本脚でも平気!」という見出しがついた黒猫が目に飛び込んできた。他の子を少し見てみたが、またその子のページに戻ってしまう。

「猫を飼うつもりはなかったのですが、どうしても気になって、その日の晩も翌日もその猫のことで頭がいっぱいに。家族に、猫を迎えようと思うこと、その猫は3本脚だということを伝えて相談しました」

小学生の二人の息子は、「おばあちゃんと同じ、この子と家族になりたい!」と言った。冨士さんのお母さんは、病気で足の指を切断していた。

「私は母に、『子どもたちが怖がるから靴下を履いてね!』と、失礼なことを言っていたのですが、子どもたちはしっかりと受け入れていて、『猫の脚が1本無くても何も変わらないじゃない』と言ってくれました」

■兄弟に妹ができた

モナちゃんは脚がないことを忘れさせるほど元気で、俊敏に動くことができた。モナちゃんが来てから家の中が明るくなり、温かな空気に満ちているという。

「子供たちは喧嘩するとモナを抱きしめるのですが、モナも落ち込んでいる方に寄り添います。まるで妹ができたような生活になりました。私も育児や仕事のストレスでイライラしがちでしたが、そんな自分はどこへ?と思うほど癒されています」

モナちゃんはツンデレで控えめなのに甘えん坊。撫でてほしい時は、鳴きながら誰もいない部屋へ誘導し、自分から寝転んで「にゃー(撫でて)」と鳴く。家族は、そんなモナちゃんがたまらなく可愛くて、メロメロなんだという。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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