壁の向こうから子猫の鳴き声 「壊してもいいから助けてあげて」 深夜に及ぶ5時間の末に救われた命

か細い鳴き声を頼りに壁に穴を開け、腕を差し込むと、手には小さな子猫が抱かれていました。家の壁に穴を開け、子猫を救助した動画が注目を集めています。「家のどこかから子猫の鳴き声がする」と住民から通報を受けた動物愛護ボランティア団体「高円寺ニャンダラーズ」(東京都杉並区)と杉並消防署員が家へ駆けつけ、深夜まで5時間におよんだ救助活動を成功させました。救出した瞬間を動画で撮影していた高円寺ニャンダラーズのメンバーで、杉並区議会議員のひわき岳(@hiwaki_gaku)さんに話を聞きました。

■「家の壁を壊してでも」と住民

ーー救助場所や通報内容について教えてください。

「東京都杉並区の住宅街の一軒家でした。住民から高円寺ニャンダラーズに『一階の天井裏から子猫の鳴き声がする』とのご連絡をいただきました」

ーーひわきさんも区議会議員として現場に駆けつけたんですか?

「私は高円寺ニャンダラーズのメンバーで、プライベートの時間に猫のボランティアをしています。ニャンダラーズは猫を保護し、ケアをした上で里親を探す活動を行っています。既に現場入りしていたメンバー2人から連絡を受け、保護ボランティアとして出動しました」

ーー救助とはいえ、家の壁に穴を開けるのは大変なことです。

「住民の方は『猫が(壁の中に)いる事がわかっていて、そのままにはできない。助けてあげてほしい』との事でした。『壁を壊してでも』と言ってくださったことが大きかったですね。家人の許可を得て、壁に2カ所穴を開けましたが、居場所がなかなか特定できませんでした。鳴き声が聞こえても、見えない場所のどこにいるかはなかなかピンポイントで分からないんです。さらに穴を大きく開ける必要があるため、安全を考えて、消防に連絡しました」

「杉並消防署の署員が夜中にも関わらず7、8人来てくれて、色んな機具を使って子猫を探してくれました。壁に穴を開ける時も、子猫を傷付けないよう慎重に作業に取り組んでくださって、最後は猫の扱いに慣れている高円寺ニャンダラーズの代表が穴に手を入れて救出しました」

■母猫の子猫隠す習性→壁の中に入り込んだ?

ーー子猫はなぜ人家の壁の中に入り込んだのでしょう?

「子猫は救助当時、生後20日くらい。まだ離乳前でした。母猫やほかの子猫は一緒にいませんでした。お母さんは安全な場所に子猫を隠す習性があります。屋根裏に隠そうとして、子猫が壁の溝に入り込んでしまい、あきらめて置いていってしまったのかもしれません。通気口など、どこかから壁の中に入る場所があるのかもしれませんね」

ーー子猫の健康状態はいかがですか?

「12時間ぐらい屋根裏にいたと推定しています。当初は、排泄時に脱水症状とみられる濃い黄色のおしっこをしていて、ミルクの飲みも悪かったので、皮下点滴を行いました。その後、ニャンダラーズのメンバーの自宅で、3時間おきに哺乳瓶でミルクをあげてきました。現在は自力で哺乳瓶からミルクが飲めるようになりました」

--保護猫活動ではこのような救助活動は珍しくないのでしょうか?

「レスキュー活動の内容は様々です。猫が川に落ちた、高いところから下りられなくなっている、室内に閉じ込められている、負傷した猫がいる、などがあります。壁の中からレスキューした経験としては、高円寺駅前のカラオケ店の壁の中に子猫2匹がいたことがありました。通気口から母猫が入り込んで子猫を隠していました。また、原宿のマンションでは、飼い猫が浴槽の排水溝から、ユニットバスと壁の間に入り込んだケースもありました。いずれも壁を壊して救助しました」

◇  ◇

「家の壁を壊してでも」と救助を求めた住民、夜を徹して救出に当たった消防隊員、そして3時間おきに寝ずの番でミルクをあげたニャンダラーズのメンバー。それぞれの思いがつながって、子猫の命がつながりました。動画を見た人からは「助かってよかったにゃー」「見ているこちらも救われる」「間に合って良かった…」と喜びの声が上がっています。ちなみに子猫はもう少し大きくなるまでニャンダラーズが育て、ワクチンを打ち、避妊手術を施した後、子猫を迎える新しい家族を探すことになるそうです。

(まいどなニュース・伊藤 大介)

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