静岡県民のソウルフード「炭焼きハンバーグ」を実食 「さわやか渋滞」も納得の味

 テレビなどで話題となっている静岡県民のソウルフード「さわやかのハンバーグ」をご存じですか。「さわやか株式会社」(袋井市)が県内のみで34店舗も展開する「炭焼きレストランさわやか」の看板商品。今回は浜松市の浜松遠鉄店を訪ね、人気メニューの「げんこつハンバーグ」を定番の「オニオンソース」でいただいた。実は2日がかりの初体験。「さわやか渋滞」なるウワサにも納得した。

 コロナ禍でもあり、少し油断したかもしれない。場所はJR浜松駅を出たところにある遠州百貨店本館8階。ふとしたことから「さわやかのハンバーグ」を食べることになり、念のために下見に行ったのが午後4時ごろだった。この日の閉店は8時。店の規模(のちに70席ほどと判明)と店の外でイスに座って順番待ちをしているお客さんの数を見て、6時すぎに行けばベストと予想し、一度引き上げた。

 ところがどっこい、だった。到着したのが6時20分ごろ。ヤバい、と思いつつ予約をお願いしようとしたらまさかと言うか、案の定と言うべきなのか「本日は締め切りました」と言うつれない答え。「エェ~、8時閉店なのに」という言葉を抑えつつ、さすがにガックリしたが、気を取り直して同じフロアにある「金華」の焼き餃子定食(1200円)をいただくことにした。

 今回、さわやかのハンバーグを思いついたのは駅ナカのスターバックスでたまたま隣に居合わせたOL2人の”助言”があったからだ。「浜松といえば餃子」と思い、お勧め店を尋ねてみるとセリナさんが「ハンバーグのさわやかをぜひ」と猛プッシュ。「地元民は大好き。静岡おでんなんて目じゃない」という。そのとき、静岡にしかないハンバーク店があることを思い出し、悪くないなと思った。

 瞳が印象的だったヒトミさんも「お勧めはげんこつハンバーグ。店員さんがこうして、こうして切って焼いてくれますよ」といういじらしい仕草。「オニオンソースでぜひ。ただし、120分待ちなんてざらなので注意してくださいね」とアドバイスをしてくれたことも追い風になっていた。

 何とか約束を果たさねば…。翌日の昼、11時26分に訪ねてみると、案内の目安は12時23分という紙が渡された。これは想定内。紙はコロナ対策として混雑緩和のため、携帯端末で待ち時間を確認できるシステムのようだ。頃合いを見計らって直前にイスに座って時間調整。そのわずかな間にも続々とお客さんが訪れ、中には案内時間を聞いて「きょうは辞めときます」と引き返す人もいた。

 店内に入ると、ほどよい賑わい。早速、250グラムの「げんこつハンバーグ」(1100円)とごはん、コーヒーを注文した。特徴は牛肉100%で塩、黒こしょうが程よく効いているところ。小食の人には200グラムの「おにぎりハンバーグ」もあるが、お勧めは断然げんこつ。ソースは「オニオンソース」と「デミグラスソース」の2種類から選べるが、ヒトミさんのアドバイスに従って迷わず「オニオンソース」を選んだ。

 注文してから10分ほどたっただろうか。アッツアツの鉄板に乗っかった炭焼きハンバーグの塊が運ばれてきた。なるほど、まるでげんこつのよう。これを店員の池谷楓さんが特製のフォークとナイフで手際よく半分に切って、さらに鉄板の上でジュワッと焼いてくれた。

 「牛肉100%なのですごくニクニクしいと思いますよ。わたしもオニオンソース派です」

 楓さんの言葉に一段と胸を膨らませていただくと本当にジューシー。オニオンソースがいいアクセントになっている。中が赤身のままをいただくのがさわやか流とのことだった。ふと、そのとき思い出したのが宮崎で食べた「平家の郷」のハンバーグ。風味、食べ応えとも甲乙つけがたいところだが、苦労した分だけ「さわやか」の方がありがたく感じた。もちろん、赤身が苦手な人は「もう少し焼いて」というのもOKだ。

 食べ終えて店内を見渡すと、休日だったせいか家族連れや女性同士がほとんどだった。ジュースを手に乾杯の声があっちこっちから聞こえて来たが、これもさわやか流のようだ。静岡県民はおおらかで明るい。地元の人に聞くと「さわやかはお祝いごとでよく使います。静岡の人はさわやかのハンバーグを食べて育った」そうで「郊外の店ではさわやか渋滞という言葉があるほど」と人気のほどを明かしてくれた。

 創業は1977年。大阪出身で浜松遠鉄店の中田朝晴店長は「楽しくなければ、さわやかになれませんからね。静岡に来て驚いたのはびっくりドンキーやブロンコビリー、ビッグボーイが少ないこと。それだけ、さわやかが愛されている証拠です。その分、お客さんからの要望も強いですが、それに応えていきたい」と話していた。

 静岡に行かれる機会があれば「さわやかのハンバーグ」をぜひ味わってみてください。味もさることながら不思議と元気をもらえる場所。OLおふたりにもこの場を借りて感謝します。

(まいどなニュース特約・山本 智行)

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