赤ちゃんを31匹産んだ駐車場暮らしの元野良猫、19歳で旅立ち 数々の伝説残したトラ子ちゃん 

 今回のコラムはこの子にしようと決めていた、トラ子ちゃんをご紹介します。トラ子ちゃんは、1年ほど前から腎不全の治療で定期的に通院してくれていましたが、7月に入ってから容態が悪化し、残念ながら掲載を待たずして天国へ旅立ちました。19歳でした。

 トラ子ちゃんは、もともと野良猫ちゃんでした。今のお家がとても気に入ったようで、駐車場で暮らし始め、出産までしたのです。

 今となってはトラ子ちゃんを愛してやまない飼い主さんも、当時は「野良猫一家にいつかれては困る」と思い、違うにおいがつくとお母さん猫が嫌がってその場からいなくなるという話を聞き、仔猫を触ってみたりしたそうですが、全く効果はなく、そこで子育てをすることに。そして、仔猫たちが順調に育つと、それぞれに里親さんのもとに巣立っていきました。

 こんなことを繰り返し、トラ子ちゃんはなんと31匹も赤ちゃんを産んだのです。最終的には、お家に入れてもらうことになり、避妊手術もしたのですが、その時には子宮もかなりボロボロになっていました。また、外にいた時代には、車の事故にも遭い、その後姿を見せなくなり、もう帰ってこないのかなと思っていたら数日後に復活して元気に戻ってきたなど、トラ子ちゃんには数々の伝説があります。

 そんなトラ子ちゃんですから、治療中も生命力の強さをまざまざと見せてくれました。普通なら、ごはんを食べられなくてもおかしくないような状況でも、少しずつ食べました。状態が悪化して、横になってしまい、呼吸をしているかどうかも分からないくらいの状態になっても、飼い主さんの声を聞き、一緒に過ごす時間を生きる力に変えて、本当に力尽きるまで生き抜いたのです。トラ子ちゃんの長い長い一生が静かに、穏やかに幕を閉じました。

 トラ子ちゃんの生きる力は、私たちにも強いメッセージを残してくれました。

 トラ子ちゃん、ありがとう。天国でも数々の伝説を作って、元気に暮らしてくださいね。

◆小林由美子(こばやし・ゆみこ)獣医師。1990年開業の埼玉県ふじみ野市「こばやし動物病院」院長。米国で動物の東洋医学、自然療法を学ぶ。治療はもちろん予防やしつけなどにも造詣が深く、講演活動も行う。ペットと飼い主双方に寄り添う診療が信頼を得ている。

(まいどなニュース/デイリースポーツ)

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