自粛長期化で子のストレスは限界…安心感の鍵は“圧迫刺激” チェックポイントとおすすめの遊び4つ+α

 新型コロナの新規感染者数が減りつつあるとは言え、一部の地域では緊急事態宣言が出されたままとなっています。私の事業所のある兵庫県もそのひとつ。未だ多くのお子さんは在宅生活を余儀なくされ、保護者の方から、「自宅でストレスを溜めながら過ごしている姿を見ていると自分も気分が滅入ってしまう。何かストレス発散できる遊びはありませんか?」とお尋ねいただくことが良くあります。確かに、自粛生活が長引けは長引くほど、子どもだけでなく、大人もストレスが溜まってしまいますよね。そんな時は、子どもの好きな感覚刺激を入れた遊びをしてみましょう。今回ご紹介するのは「圧迫刺激」です。

◆圧迫刺激は、「体に圧がかかる」刺激

 人が体の各器官を通して感じる刺激は、色々あります。例えば、揺れや回転の刺激(前庭覚刺激)、触る刺激(触覚刺激)、聞く刺激(聴覚刺激)、見る刺激(視覚刺激)など。その中で、圧迫刺激は、読んで字の如く「体にかかる圧を感じる刺激」で、多くの子どもが「心地よい」と感じる刺激です。

 例えば、お子さんが小さな頃に「抱っこ」を良く求められたことがある方も多くおられると思いますが、それは「お母さんやお父さんがギュッと体を抱きしめる刺激(圧迫刺激)」を心地よく感じるためなのです。

 抱っこを求められたとき、しっかりと抱きしめてあげると、お子さんは穏やかな表情になったり、すやすやと眠ってしまったりしたことはないでしょうか?これは、「お母さんやお父さんに抱っこされている安心感」に加え、「抱っこされることで、体に入る圧迫刺激が心地よく感じている」から。このように、圧迫刺激を求めるお子さんに、適切に圧迫刺激を入れてあげることができれば、気持ちを落ち着かせ、ストレスを軽減させることにもつながります。

 また、自閉症スペクトラムを始めとする発達特性のあるお子さんの多くが、圧迫刺激を求める傾向にあります。そのため、適切に圧迫刺激を入れてあげることができれば、ストレスからくる常同行動(同じことを何度も繰り返す)やかんしゃくなどの予防につながる効果もあります。

◆圧迫刺激が好きかどうかの見分け方

 圧迫刺激のある遊びでストレスを発散できるかどうかを知るために、まずはお子さんが「圧迫刺激を好む(求める)かどうか」をチェックしておきましょう。以下の項目のうち、一つでも当てはまれば、お子さんは「圧迫刺激が好き」だと言えるでしょう。

□抱っこされることが大好き(抱っこを良く求めてくる)。

□足や手のひらのマッサージをしてあげると、眠りにつきやすい。

□眠る時に、体を「トントン」してもらうと眠りにつきやすい。

□布団や毛布にくるまれたり、もぐりこむことが好き。

□お風呂やプールが好き。

□押入れの中やテーブルの下など、狭い空間に入るのが好き。

◆圧迫刺激を入れて気持ちを落ち着かせる効果のある遊び

【幼児・小学生とも】

◯ミノムシのように布団にくるまる

掛け布団を体に巻きつけて、圧迫刺激を入れます。また、敷布団を体の上に掛けることも効果的です。

※この遊びは、子ども起きている時に、行ってください。就寝時に行うと、布団の中で身動きが取れないので危険です。また、布団を巻きつける際は、窒息を防ぐために、首から上(顔)は必ず外に出しておくようにしましょう。

◯秘密基地遊び

ダンボールの空き箱などを利用して、秘密基地やお家を作ります。基地やお家の中は、子どもが12人入れるくらいの、少し狭い空間で作るのがポイントです。圧迫刺激は、体に入る刺激だけではなく、狭い場所から受ける「空間の圧迫」もあります。空間の圧迫が好きなお子さんは、狭い場所に入ることを好む傾向があります。

◯入浴は湯船に浸かる

湯船の中では、お風呂のお湯の圧(水圧)がかかります。湯船につかると眠くなったりするのは、暖かさを感じるとともに、水圧が心地よく感じるからです。シャワーも、圧迫刺激の一つになりますが、湯船にゆっくり浸かることで、より心地よさを感じることにつながります。

◯抱っこまたは抱きしめてあげる

幼児の場合は抱っこ、小学生の場合は抱きしめてあげましょう。その際、少し強めの力(子どもが苦痛を感じない程度)で刺激を入れてあげましょう。抱っこしている時間は、子どもが自分で降りようとする、または離れていこうとするまで続けてあげましょう。多くの子どもは、抱っこで一定の満足度が得られると、自分から離れていきます。

【幼児にお勧め】

◯仰向けに寝転んだ子どもの体をトントン叩いたり、足をギュッと握ったりする。

 「きゅうりができた」のように、歌に合わせて体に刺激を入れる遊びなら、さらに気持ちが落着きます。

◯ブランコ毛虫

 タオルケットなどに子どもを仰向けに寝かせ、大人二人でタオルケットの両端をもち、ハンモックのように、左右に揺らします。タオルケットにつつまれる刺激(圧迫刺激)だけでなく、左右に揺れることから、「揺れ・回転刺激」も好きなお子さんの場合は、二重の満足感につながります。

 長期化する自粛生活により、子どものイライラやストレスは、限界に達しつつあります。ストレスからくるイライラを少しでも軽減するために、圧迫刺激を好むお子さんに対して、圧迫刺激を感じることができる遊びは有効です。発達特性のあるお子さんにおいても、ストレスから来る癇癪の予防などにも効果的。今回ご紹介したお家でできる圧迫刺激のある遊びを、ぜひご自宅で実践し、お子さんのストレス解消にお役立てください。

◆西村 猛 脱公務員。株式会社ILLUMINATE代表取締役。子育て支援の事業所を複数経営。幼児期の発達が専門の理学療法士。子どもと姿勢研究所代表。「日本で一番、保育士さんを応援する理学療法士」として全国各地の保育園で幼児の運動発達に関する講義を実践中。キャッチコピーは「特技ものまね、趣味立ち話」。うんちくんグッズ集めに余念がない。

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