「法政三羽ガラス」富田勝さん5・1宇宙葬 15年他界、ロケット打ち上げ&散骨

 法大時代に田淵幸一、山本浩二と「法政三羽ガラス」と呼ばれ、プロでも南海や巨人で活躍し、2015年に死去した富田勝さんの遺灰を積んだロケットが改元初日となる5月1日(現地時間4月30日)に米国フロリダ州ケネディ宇宙センターから打ち上げられることがわかった。宇宙葬という散骨形式のひとつで、「人工衛星プラン」で飛び立つ富田さんの遺灰は、打ち上げ後最長240年間、地球の軌道上を周回する。

 「いい男でしたよ。先に逝ってしまって今でも悲しい…」と話すのは富田さんの夫人・のん子さん。続けて「今でもパパ(富田さん)に毎日1回は話しかけるんです。打ち上げ後は、空に向かって話しかけることができます」と春に予定されている打ち上げを待っている。

 富田さんは生前、宇宙葬の存在を知った。「パパの知り合いの方が宇宙葬の会社をやってて、本人も希望していた」。夫人が故人の遺志をくみ申し込んだという。

 実は昨年10月に打ち上げ予定だったが、天候不良のため今春に延期された。宇宙葬を手掛ける米セレスティス社の日本正規代理店となる葬儀社、株式会社銀河ステージ(本社・大阪市)の事務局葬祭ディレクター・生地(おんじ)真人さんによると、「天候もそうですが、アメリカの軍事の方針もあるので、国際情勢に影響され延期になることもあります」と予定通りにいかない。ただ富田さんの遺灰はすでに積み込み準備を終え、ロケットの発射を待つばかりだという。

 宇宙葬は1997年にはじまり、2007年に米人気SFテレビシリーズ「スタートレック」で宇宙船の機関長「スコッティ」役だった故ジェームズ・ドーハンさんらの遺灰を積んだロケットが打ち上げられ、話題となった。

 日本では5年前に銀河ステージがサービスを開始した。これまでに17人の遺灰が宇宙へ。今年は富田さんの遺灰を含め10人を予定しており、年々認知度が高まっている。また、生前での申し込みも可能で、国際派女優の島田陽子がすでに申し込みを済ませている。

 生地さんによると富田さんは生前、「一度は野球の世界で輝いた。ライバルだった星野仙一、山本浩二、田淵幸一は引退後も(指導者として)活躍したが、自分は忘れられている。空を見て思い出してほしい」と言って、宇宙葬を希望したという。のん子夫人も「ずっと空で輝いていてほしい。富田勝という名前を忘れないで」と話していた。(神戸新聞・佐藤利幸)

  ◇  ◇

 ▽宇宙葬プラン 銀河ステージでは4つのプランを用意。高度100キロを超え宇宙空間で散骨する「宇宙飛行プラン」45万円、人工衛星に遺灰を搭載、スマートフォンアプリで現在地が分かる「人工衛星プラン」95万円、月面まで運ぶ「月旅行プラン」250万円、宇宙帆船で宇宙の果てを目指す「宇宙探検プラン」250万円。価格はいずれも税別。

 ▽遺灰は専用カプセルに 遺骨をパウダー状にした遺灰1グラム(標準タイプ)を収納カプセルに。打ち上げ失敗に備え、予備カプセルも用意する。打ち上げ後は証明書が発行されるほか、現地で見学できない場合、打ち上げ時の動画を収めたフォトフレームが送られる。

 ◆富田 勝(とみた・まさる)1946年10月11日生まれ、2015年5月26日没。大阪府出身。1968年度ドラフト1位で南海に入団。70年には23本塁打を放った。73年から巨人に移籍。76年に日本ハムへ移り、77年から2年連続で打率3割以上をマークした。81年から中日でプレーし、82年に引退した。81年に史上2人目となる12球団からの本塁打を達成。通算1303試合に出場し、打率.270、107本塁打、451打点。引退後は野球解説者やタレントとしても活躍。

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