「福男」ならぬ「ゑびす男」選びとは 「商売繁盛」願いもうひとつの“戦い”

 1月10日に兵庫・西宮神社の「福男選び」が行われ、それから3日。夜が明け切ったばかりの寒空の下、ランニングウェアに身を包んだ男たちが福を求めて疾走する-。似た光景だが、この日に行われたのは福男選びならぬ“ゑびす男”選び。舞台は大阪・豊中市にある大阪大学豊中キャンパスの通学路。「地元商店街の商売繁盛」と「地域住民のよりよい交流」を願って開催され、通称“阪大坂”と呼ばれる300メートルほどの激坂を約180人が駆け上がった。

 「ゑびす男選び@阪大坂」は大阪大学経済学部松村研究室と大学の最寄り駅・阪急石橋駅前の石橋商店街が共同で企画運営している。身近な存在でありながらそれまで深くかかわることのなかった大学と地域が、お互いの魅力を再発見し、繋がりを深めようと2007年にスタートした。

 つまり今年で13回目。実行委員会のメンバーは「このイベントを通じて、今まで以上に学生が商店街を利用するようになり、大学側としても商店街に社会実験の協力をいただくなど、とてもいい関係を築けている。今後もこのきずなを深めていければ」と話す。

 レース後には餅つきや雑煮の炊き出し、商店街の各商店が用意した商品券や商品が数多く当たる抽選会も開催する。学生と住民間の交流を生み出し、地域を活性化させる取り組みだ。

 天候に恵まれた今年は、ようやく日も昇ってきたばかりの午前7時30分にスタート。レースは大人の部と子どもの部に分けて行われ、学生や地元住民など約180人の老若男女が急坂を走りきった。

 中には近隣自治体のイメージキャラクターのふくまるくん(池田市)や滝ノ道ゆずるくん(箕面市)、そして昨年結成されたばかりの池田市職員有志による「池田忍者甲賀衆」の忍者たちの姿も。成績は「ぼちぼち」(池田忍者甲賀衆のくノ一)とのことだが、それぞれ息を切らせながら懸命に走る姿で沿道の観客を沸かせた。

 ちなみに今年の「壱番ゑびす」に選ばれたのは大阪大学大学院生命機能研究科に所属する本間貴裕さん(23)。陸上部員でもあり体力には自信のあった本間さんだが、スタートでの位置取りに失敗してレース自体の順位は2位。しかし成績上位3人で行う「ゑびす男を決定するくじ引き」で見事一番を引き当て、石橋での今年の“一番福”と商店街の商品券1万円を手にした。(フリーライター・たまの みか)

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