近江鉄道“ビール電車”今年も出発進行 イベント列車の先駆け…冬は地酒、秋はワインも

 電車にのんびり揺られながら飲み放題でビールを楽しむ近江鉄道恒例の「近江ビア電」が12日から走り始めた。1996年にスタートしており、イベント列車の先駆け的な存在だ。今年からキリンビールに加え、新たにアサヒビールが飲める「アサヒ便」も運行。初日に早速“試飲”してみた。車窓を流れる風景を見ながらグビグビ…夏はやっぱり、ビールだねぇ。

 日が暮れ始めた午後7時03分、彦根発の「ビア電」1番電車は動き出した。車内は“ちょうちん”や“すだれ”で飾られ、開放感を醸し出す。近江鉄道の高橋哲治・鉄道部次長のあいさつも心なしか興奮気味。時折、声が裏返り、こちらのテンションもいやおうなく上がった。

 夕闇の中、地元で“ガチャコン”と呼ばれているレトロな電車は近江盆地を南へ走る。近江鉄道によると、この「ビア電」は96年にスタートしており、日本全国さまざまな形で展開されているイベント列車の先駆けだという。また、これまではキリンビールの多賀工場が沿線にあったことから「キリン便」のみだったが「お客さまからの要望を受け」今年から「アサヒ便」も運行することになった。

 用意された中華弁当をつまみに「アサヒスーパードライ」をグビッ。紙コップというのが少し残念だが、それより女性店員が頻繁に巡回してくれるので着席したまま即おかわりできるのがありがたい。遠慮なく、もう一杯グビッ。そうこうしていると電車は最初のトイレ休憩となる尼子駅に着いた。

 広報担当の北原翔さんによると「通常は60キロぐらいですが、ビア電は45キロで運転しています。揺れが少ないように」とのことで、その気配りがうれしい。また近江鉄道では若手社員が中心となって、さまざまな企画を提案。冬恒例の「地酒電車」に加え、この11月には人気漫画「神の雫」とコラボした「ワイン電車」を走らせるという。

 尼子駅を出るころには日が沈み、電車は折り返し地点の八日市駅へ向けて進んでいく。途中、左手を新幹線が一瞬にして通過する。「そんなに急いでどうすんの」と独り言。高宮駅から五箇荘駅までの区間は新幹線と並走しているという。八日市駅で休憩を取るとUターンし、再び彦根駅へ。トータル2時間。このころにはみなさん、すっかり出来上がっていたのは言うまでもない。

 兵庫県姫路市から参加した4人組は「いとこ同士、泊まりで楽しみに来ました。地酒電車が気に入ったので今回はビア電に。いつも以上にビールがおいしい」とニッコリ。開業120周年企画として浴衣姿で乗車した人へのオリジナルエコバッグをプレゼントされ、ご満悦の様子だった。さらに、この日は大手銀行の親睦会も開かれるなど大盛況だった。

 「近江ビア電」はアサヒ便(29日までの毎週水曜~日曜)、キリン便(8月2日から9月8日まで毎週火曜~日曜、一部除く)の計38便が運行される。今年から昼便も増発。すでに1800人の予約で埋まっているという。定員72人、料金は大人3800円(弁当代含む、こども1500円)となっている。ビア電の他に「ビアクルーズ」、電車を見ながらビール飲み放題の「鉄バル」もある。問い合わせは予約センターまで。電話番号は0749(24)8103。(デイリースポーツ特約記者・山本智行)

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