日本最長級40mの長~いコンビニができた理由

 神戸市中央区の地下街「メトロ神戸」に、店舗の端から端まで40メートルという日本最長クラスのコンビニ店舗「ファミリーマート メトロ神戸店」が8月29日にオープンした。地下街運営会社が「シャッター通りを活性化したい」と以前の入居テナントに移転を促してしつらえた大型区画に誘致を働きかけ、実現した。

 神戸高速鉄道の高速神戸駅と新開地駅を結ぶ地下街「メトロ神戸」は通路を挟んだ南北両側で約60店が営業している。開業して45年になる卓球場などもあり、通りは昭和感にあふれる。ただ近年は退店後シャッターが閉まったままの店も少なくなく、運営する神戸高速鉄道の事業部長、福田和弘さんは「来年9月で開業50年を迎えるにあたり、あらためてにぎわいづくりに取り組んでいる」と話す。

 その一つが大型店舗の誘致だ。高速神戸駅の入口側の北に従来入居していた婦人服店など3店と交渉して5区画分をぶち抜き、長さ40メートルのスペースをつくった。誘致先として日常的に買い物客が訪れるスーパーやコンビニ、100均ショップなどをターゲットにしたが「細長い特異な形状では通常のオペレーションができない」と断られた先もあった。誘致が決まったファミリーマートに対しては「地下街を明るくするために壁の部分はなくしできるだけガラス張りにしてほしい」と注文をつけたという。

 同店を担当するファミリーマートのエリアマネージャー、富士庫実さんは「一つひとつの店の長さを調べたわけではありませんが、ここまで長い店はないのでは」と話す。形状に合わせた工夫として「日常的に買われる日用品や食品は奥の方に並べ、できるだけ回遊していただけるようにしている」と話す。レジに並ぶ人が入店客をじゃましないようパーテーションを置くなどの対策もとった。話題性も手伝って、オープン3日間の売り上げは上々という。

 オープン以来毎日来店しているという柳川邦雄さん(74)は「地下街が明るくなってうれしい。長い店を直線で往復できるのでいろんな商品が目にとまりやすい」と話す。

 ファミリーマートの店舗の区画でもともと営業し、4月に対面の南側に移転した婦人ブティック「ロアール」のオーナー、柴田昌樹さん(37)は「にぎわいづくりにつながるならと移転を了承した。古き良き雰囲気を残した地下街だけにコンビニが入ると聞いてはじめはさびしい気持ちもあったが、オープン以来地下街が活気づいているのをみて安心した」とコンビニ効果にさらなる期待をかけている。(デイリースポーツ特約記者・山口裕史)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

ライフ最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス