「北中米W杯・1次リーグF組、日本代表4-0チュニジア代表」(20日、モンテレイ)
日本代表はチュニジアとの1次リーグF組第2戦にFW上田綺世(27)=フェイエノールト=の2得点などで4-0と完勝した。W杯での日本の4得点は最多。第1戦に引き分けた日本は今大会初勝利で勝ち点4とし、3大会連続の決勝トーナメント進出へ大きく前進した。チュニジア戦は1930年の第1回大会からW杯通算1000試合目。節目の試合を白星で飾った日本は、25日午後6時(日本時間26日午前8時)からのF組最終戦でスウェーデンに勝つか引き分け以上で1次リーグ突破が決まる。負けた場合でも他試合の結果次第で勝ち上がる。
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チュニジア戦で2ゴールを挙げた上田は、普段の練習から見ても一人だけシュートの音が違う。そのあふれ出るパワーは天性のもの。そう語るのは上田の恩師である鹿島学園の鈴木雅人監督(51)だ。
高校入学時は決して体が大きくなかったが、3年生になって「本当にびっくりするぐらいに急に体が大きくなった」と振り返る。シュートの強さ、スピードは格段に向上。もともとあった得点嗅覚に磨きがかかった。
ただ、ウエートトレーニングをやりこむことはなく、食事の量も至って普通だった。体が急成長を遂げた理由がはっきりと分からなかったというが、後日、上田を担当した鹿島のドクターから「今も忘れない」言葉を聞いた。
「やっぱり『ライオンだよね、綺世はね』と言っていましたね。確かにそうだなって思った。要は何もトレーニングなんかしていないけど、もともとの動物的に持っているパワーがあるっていう。けがしても治癒力がすごいと言っていた」
練習をしすぎて止めたことはない。どちらかというと、きつい練習は嫌っていた。それでも重要な試合になればなるほど、ゴールへの本能が呼び起こされる。「ゴールを襲ってくるみたいな。突っ込んでいくし、ガーって行くんです」。3年時の全国高校選手権予選の準決勝、決勝など、大事な試合は「全部」上田が勝負を決めた。
“百獣の王”は自由奔放で、守備も献身的ではなかった。他の選手から「なんであいつは守備しなくていいんだ」というような空気が生まれた時もあったという。それでも鈴木監督は「あの子の良さは点を貪欲にゴールを狙い続けること」と、目をつむり「まあまあ。上田が点を取ってくれるよ」と、他の選手を納得させた。
そんな“ライオン”が筋トレに励めば、まさに鬼に金棒。日本代表のワントップでどっしりと構えるまでに成長した。高校時代から変わらぬ本能を武器に、“百獣の王”は世界の舞台でゴールを狙い続ける。(デイリースポーツ・松田和城)