C大阪・大久保 21年の現役生活に幕 先発出場も無得点のまま交代「すっきりした」

 「天皇杯・準決勝、浦和2-0C大阪」(12日、埼玉スタジアム)

 C大阪は浦和に0-2で敗れた。今季限りで現役を引退する元日本代表FW大久保嘉人(39)はスタメンで出場したが、得点を奪えずに後半19分に交代。自身にとって国内のクラブで初のタイトル獲得には届かず、21年間の現役生活に幕を下ろした。

 現役ラストゲームの終了を告げるホイッスルをベンチで聞いた。C大阪の準決勝敗退が決まると同時に、Jリーグ史に残る点取り屋・大久保嘉人の選手生活が終わりを告げた。「ああ終わったなって。今日は負けて当然の試合(内容)だったので。すっきりしたというか、よしこれでもうやらなくていいな、という思いが強かった」。表情を変えることなく立ち上がり、小菊昭雄監督と握手した。

 観客上限なしで開催され、3万933人の大観衆に埋まった埼玉スタジアム。真っ赤に染まる完全アウェーの舞台で大久保は先発出場した。前半6分には開戦を告げるミドルシュート。41分には右クロスに左足を伸ばしたが、届かなかった。得点を狙い続けたが、先制を許したチームの中で、後半19分にFW加藤に交代した。

 前人未到のJ1通算191得点、3年連続J1得点王など数々の栄光を重ねてきた大久保だが、Jリーグでの優勝経験が一度もない。大久保の引退発表後、クラブはひとつの思いにまとまった。ホーム最終戦のあいさつ、小菊監督は「大久保嘉人を無冠のまま引退させるわけにいきません」と宣言した。

 しかし今回も悲願は届かなかった。引退会見では号泣したが、この日は涙はなし。「辞めると決めた時からまったく悔いはなかった」。手を挙げながらピッチを去る大久保に、浦和サポーターからも拍手が止まらなかった。

 思いをストレートに放つ発言にもファンは共感してきた。そのスタイルは最後まで崩さなかった。「今日はチームとして何もできなかった。来年セレッソは改善してやらないといけない、とは今年来てからずっと思っていた。自分は外から見て応援したい」。愛するチームに、最後は厳しい言葉も残した。

 今後は指導者や解説者なども視野に入れながら第二の人生を歩む。「もう走らなくていいやって。これからはサッカーと違うことをまた勉強して、チャレンジして。ここからの方が長いですし、自分はワクワクしています」。記憶に残る点取り屋は、すがすがしい表情でユニホームに別れを告げた。

 ◇大久保嘉人(おおくぼ・よしと)1982年6月9日、福岡県苅田町出身。国見中・高から2001年にC大阪に入団した。スペイン1部マジョルカ、神戸、ドイツ1部ウォルフスブルク、川崎、FC東京、磐田、東京Vでプレーし、今季15年ぶりにC大阪に復帰した。川崎在籍時の13年から前人未到の3年連続J1得点王など、J1通算 191得点は歴代最多。警告数104もJ1最多。日本代表では国際Aマッチ60試合出場6得点。W杯は10年南アフリカ大会、14年ブラジル大会、五輪は04年アテネ大会に出場した。170センチ、73キロ。家族は莉瑛夫人と4男。

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