引退表明の中村憲剛 人間としての可能性を見せてくれた選手だった
サッカーJ1川崎の元日本代表MF中村憲剛(40)が1日、今季限りで現役を引退すると発表した。2003年の加入から川崎一筋18年で、クラブの象徴とも言える大黒柱は、オンライン会見で40歳を区切りとしていたと明かした。今後に関しては模索中で「やるべきことを探していけたら」。16年にはリーグMVPにも輝いたJ屈指の名手がスパイクを脱ぐ。
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サッカー選手としてだけではなく、人間としての可能性を見せてくれた選手だった。
川崎にはテスト生を経て加入。小中高大を通じて年代別代表の経験もなく、決して抜群のフィジカルを有していたわけではない。それでも「サッカーが大好き、うまくなりたい」という探究心と向上心は際限なし。努力に裏打ちされた基礎技術の高さ、サッカーという競技への深い考察という武器を磨き上げ、日本代表としてW杯出場、36歳にしてリーグMVPにも輝いた。
他クラブの選手やサポーターにも愛される希少な選手である一方で、引退会見の冒頭に「今季限りで川崎フロンターレを引退します」と川崎愛があふれたのが実に“らしい”ものだった。ピッチ外でも機転が利き、多くの人への気遣いを忘れない。得がたい選手を取材できたのは、記者にとっても幸せな時間。第二の人生も無限の可能性を期待したい。(デイリースポーツサッカー担当・松落大樹)