五輪世代のメンタル開花 王国ブラジル撃破の舞台裏にあった成長…横内コーチが語る

 笑顔でポーズを決める日本代表・横内昭展コーチ(撮影・棚橋慶太)
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 次世代を担う若武者が、サッカー王国の誇るカナリア軍団を相手に金星を挙げた。現地10月14日に行われた、サッカーU-22日本代表-同ブラジル代表との親善試合。敵地に乗り込んでの一戦となったが、日本は堂々たる戦いを見せて3-2で勝利を挙げた。東京五輪での金メダル獲得に向けて、着実な成長を続ける男子代表。A代表と兼任する森保監督に代わって試合の指揮を執った横内昭展コーチ(51)に、ブラジル撃破の舞台裏や代表チームの成長度合いについて聞いた。

 その躍動は、サッカー王国でも大きな驚きと共に伝えられた。10月14日、ブラジルのレシフェで行われた東京五輪世代であるU-22日本代表と同ブラジル代表との親善試合。前回の五輪王者であるブラジルは欧州で活躍する有力選手を招集していたが、結果は3-2で日本の逆転勝利。地元有力のメディア「グロボ」は「後半に最高の出来を見せたのは日本だった」と配信している。

 A代表と五輪世代チームを兼任する森保監督を支える“右腕”とも言える横内コーチは、同戦で監督代行として指揮を執った。若きカナリア軍団から奪った金星。その要因はどこにあったのか。

 「(ブラジルとは)トゥーロン(国際大会・決勝)でも対戦していて、初めてではなかった。そのメンバーからさらに名前のある選手も招集されていましたが、選手が気後れせずにやってくれた。ブラジル相手で『すげえな』っていうよりも、(前回対戦でPKの末の敗戦に)全員がブラジルに対して勝ちたいという思いを持っていました。自分たちがどこまでやれるのか、全てをぶつけたいと。選手が思いっきりやってくれたと思っています」

 ブラジルが奪った2得点は共にPKによるゴール。日本から見れば厳しい判定もありながらの逆転勝利だった。森保監督が五輪世代の監督に就任して以降、チームを見続けていた横内コーチはそこに、メンタル面での成長を感じたという。

 「開始2分くらいで(GKの)大迫がボールを奪われて決定的なシーンを作られましたが、その後も普通にプレーしていました。失点しても、そこから崩れることなく、強い気持ちでやることを最近の選手は持っている。このチームの立ち上げ当初は結構失点するとそこから失点を重ねたりしていましたが、先に点を取られても追いつく、逆転することができるようになってきた。それは積み重ねて、うまくいってきていることの一つなのかなと思います」

 A代表では国際Aマッチで一度も勝利したことがない王国にも、のまれることのないメンタル。それは、日本サッカー界がまいてきた“種”が育ってきた証しかもしれない。

 「海外の強豪との試合をアンダーカテゴリーで経験している選手が多くいます。今回でいうと、若いけど海外のクラブに移籍して、そこで実際にポジションを奪って試合に出ている選手もいます。それがああいう舞台というか親善試合で、ブラジル相手でも臆せずに戦えた理由の一つと思っています」

 主将を務めるMF中山雄太(ズウォレ)にMF三好康児(アントワープ)…。A代表で活動するMF久保建英(マジョルカ)、MF堂安律(PSVアイントフォーフェン)、DF冨安健洋(ボローニャ)らを含め、東京五輪世代の経験値の高さは、何物にも代えがたい。

 森保監督は「横内さんが言っていることは、僕が言っていることだと思ってください、と選手にも話している」と言う。同世代の兼任監督を支える苦労はないのだろうか。

 「あくまで監督は森保監督。でも今まで五輪チームで活動した中でのことと僕はまったく違ったことは言っていないと思います。もっと言えば、ほぼ同じことしか言っていない。何かあれば逐一、コミュニケーションを取って話をしているので。そこに関して、僕らの間ではブレはないと思います」。

 森保監督と共に、現役時代は日本サッカーがアマチュアからプロリーグへと移行していった時代を過ごした。それが今では、五輪代表では20歳前後で欧州クラブでプレーする選手、A代表ではW杯に何大会も出場する選手を指導する立場だ。

 「(選手としての実績は)何にもないっすもんね、僕。(選手の)本心はわかりません。でも代表に来る選手って、まだうまくなりたいんですよ。だから、人の言うことに耳を傾け、そこから何かを得ようとしている。僕らも教えているという感覚はないです、正直。これは僕もずっとそういう感じですけど、一緒に良いものを作っていくという作業をしている」

 日本代表の過去の世界大会を振り返れば、結果を残せるチームとは、全スタッフと全選手が頭を悩ませ、正解のない“共通の答え”を真剣に追い求めてきたチームだったと感じる。現在のU-22代表は、同様の空気感をまといつつあるように思う。

 自国開催の五輪本大会。その経験は大きな財産となる。ただ森保監督と考えを共にする横内コーチは語る。

 「森保監督も話していますが、ここが通過点でそこからA代表で活躍していく選手が出てきて、そこでまた今いる選手が刺激を受けてさらに良くなっていくという。そうして初めてW杯で良い成績を残せていける。それがあって初めて、僕らはW杯で日本で強豪国と肩を並べることになると思います」

 自国開催の五輪があってこその日本サッカーの成長。そこに携わる覚悟が垣間見えた。

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