8番の下に20番を着ていたC大阪・柿谷「絶対シャケさんと優勝したかった」

 「ルヴァン杯・決勝、C大阪2-0川崎」(4日、埼玉スタジアム2002)

 初の決勝に進んだC大阪が2-0で川崎を下して初優勝を飾り、賞金1億5千万円を獲得した。日本代表FW杉本健勇(24)=C大阪=が決勝史上最速となる開始47秒で先制ゴールを決め、後半47分にMFソウザ(29)が追加点を挙げた。MVPには杉本が選ばれた。8年ぶり4度目の決勝進出を果たした川崎だったが、またも準優勝に終わった。

 歓喜と無念さが入り交じった表情だった。C大阪に初タイトルをもたらした主将としてクラブの歴史に名を刻んだFW柿谷曜一朗(27)。だが、その瞬間のピッチに背番号8の姿はなかった。2トップの一角として先発出場したが、後半39分にMF山村和也(27)と交代でベンチに退いていた。「最後までみんなと戦いたかった。(最後まで)ピッチに立つべきやと思っていたし、それができなくて自分への不甲斐なさが残った」と、柿谷は悔しさを隠そうとはしなかった。

 初優勝のピッチに立つことへの並々ならぬこだわりには理由があった。この日、柿谷は背番号8のユニホームの下に背番号20のユニホームを着てプレーしていた。それはC大阪一筋15年目の最古参、DF酒本憲幸(33)のものだった。今季リーグ戦では出場機会のないものの、ルヴァン杯では5試合に出場して決勝進出に貢献してきた酒本だったが、決勝では無念のベンチ外となった。「絶対にシャケさん(酒本)と一緒に優勝したかった。だからユニホームを借りて一緒に戦いたかった」と明かした柿谷。初戴冠のピッチに立ち、兄のように慕う酒本のユニホームを着て表彰台に上がりたかった。それを実現できなかった自分を責めた。

 もちろん、初タイトルの喜びもかみしめている。表彰台で優勝カップを高々と掲げた柿谷は「川崎の選手の気持ちが残っていて(川崎は)何度もそういう経験をしているのに、俺らはそこに行ったこともなかったのに、こっち(優勝)に来てしまった」と対戦相手を気遣い、「不思議な気持ちだった。一個目のタイトルが取れた時、チームにいられて幸せだった」と実感を込めた。

 「クラブとして一歩前に進んだ。俗に言うこれが“始まり”」と初タイトルの意義を語った柿谷は、すぐさま視線を先へと向けた。「一つ優勝したからといって、何かが変わるわけではない。続けていくことに意味がある」。C大阪が真の常勝クラブへと変貌を遂げた時、この日の優勝がさらに大きな意味を持つことになる。

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