『持ってる人』井手口驚弾!代表初ゴールはW杯手繰り寄せるスーパーミドル

 後半、ゴールを決める井手口(8月31日のオーストラリア戦)
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 「W杯アジア最終予選、日本2-0オーストラリア」(31日、埼玉スタジアム2002)

 全員の力で6大会連続のW杯切符をつかみ取った。バヒド・ハリルホジッチ監督(65)に先発に抜てきされたMF井手口陽介(21)=G大阪=は鮮やかな代表初ゴールをマークした。

 まるで夢の中にいるかのような感覚だった。国際Aマッチ出場3試合目の井手口が代表初ゴール。「うれしかったけど、頭が真っ白になった」。照れ笑いで振り返る21歳が、W杯出場に大きく大きく貢献した。

 豊富な運動量と独特の間合いを生かし、守備面で高い貢献度を誇りながら、最大の見せ場は後半37分。原口が奪ったボールを持ち上がると、リズムを変えたドリブルから右足を振り抜き、力強くネットを揺らした。これまで浴びたことのないような大声援が全身を包むと同時に、チームメートが幾重に連なる。観戦に訪れた家族の前で、殊勲の一発だ。

 小学生の時、母・亜紀子さん(50)に初めてねだったのは「工事現場のコーン」。公園へ担いで行き、ゴールにしたり、相手に見立てながら、黙々とボールを蹴り続けた。

 中学からG大阪の下部組織に所属し、順風満帆に見える競技人生。だが、高校生になると反抗期に突入した。学校に遅刻したこともあった。そんなやんちゃな井手口少年がサッカーと真っすぐに向き合うようになったのは高校2年だ。母が病気を患い、入院したことがきっかけだった。「自分のせいでお母さんが病気になった」。その思いが消えなかった。「迷惑かけ過ぎたなと思ったし、自分が早くプロになって恩返ししようと決めた」。飛び交っていた乱暴な言葉は徐々に消え、顔つきも柔らかくなっていった。今や妻の夏海さん(21)、まな娘の愛希(ひなの)ちゃん(1)を支える頼れるパパだ。

 W杯出場が懸かる大事な一戦で指揮官の期待に応え「客観的には『持ってる人』やなって思います。実感はないけど」。テレビで見た02年のW杯日韓大会は、今でも脳裏に焼き付いている。憧れたあの場所へ-。G大阪の“怪物”は成長を続ける。

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