22歳の切り札・岩渕、世界一弾決める!
「カナダ女子W杯・決勝、日本-米国」(5日、バンクーバー)
連覇を目指して宿敵米国との決勝に臨む日本代表は3日、ほぼ非公開で約1時間半調整した。切り札的存在となったFW岩渕真奈(22)=バイエルン・ミュンヘン=は「しっかり点を取りたい」と意気込んだ。また、FW大儀見優季(27)=ウォルフスブルク=は具体策は当然ながら隠しつつ、米国DF陣の弱点を徹底的に突く考えを明らかにした。
重圧よりも決勝の大舞台に立てる喜びのほうが勝る。大会連覇の快挙へ日本中の期待がかかる中、岩渕は瞳を輝かせてこう言った。「しっかり点を取れるように頑張りたい」
2011年の前回大会に18歳で出場。ロンドン五輪後の13年になでしこリーグの日テレからドイツ2部のホッフェンハイムに移籍した。球際の強さに「全然プレーできなくて、これは無理だと思った」。それでも、俊敏さを磨いて対抗策を身につけ、14年に移ったBミュンヘンではリーグ優勝に貢献した。
試練もあった。今年2月に右膝靱帯(じんたい)を負傷。何とか間に合い、代表入りしたが、5月下旬の国内合宿中に右膝の別の箇所を痛めた。懸命のリハビリの末に復調し、準々決勝のオーストラリア戦でW杯初ゴールとなる決勝点を挙げた。「ドクターをはじめ、チームスタッフに感謝しないといけない」と口にした。
周囲への感謝を大事にしてきた。東京・武蔵野東小6年のころ、クラスでのスピーチで「私の好きな言葉は『諦めない』です」と切り出した。「諦めなければ何でもできる。目標を持って挑戦した方がいい」と訴え「そのためにも、いろんな人の協力が必要」と結んだ。
当時の担任だった河村秀樹教諭は「目に見えないところで支えてくれている人がいることを当時から感じ取っていたと思う」と振り返った。
米国には借りがある。12年ロンドン五輪決勝で終盤に投入され、絶好の同点機を相手GKの好守に阻まれた。「今でも覚えているシーン。次は決められるようにしたい」と誓った。
澤が「最後のW杯」と話すなど、今大会を境に課題の世代交代も進むことになる。「なでしこの未来を示したい」と言い切る岩渕が自らのゴールでチームを頂点に立たせ、新時代の扉を開ける。