高山3度目防衛ならず、負傷判定負け

 「ボクシング・IBF世界ミニマム級タイトルマッチ」(31日、エディオンアリーナ大阪)

 日本ボクシング史上初の4団体制覇王者・高山勝成(32)=仲里=は、同級8位のホセ・アルグメド(27)=メキシコ=に9回終了負傷判定1-2で敗れ、3度目の防衛に失敗した。

 赤コーナーから思わず立ち上がった。右こぶしでロープを悔しそうにたたく。左右のまぶたから血が滴った。9回負傷判定は1-2。高山が3度目防衛に失敗した。「もっと自制心でこらえることができれば」。悔しさに声が震えた。

 国内最多タイ15度目の世界戦のリングには魔物がすんでいた。アルグメドが放つ、回り込んでくるような軌道のパンチで2回に左目、9回に右目をカット。「ロングの距離を試みたが、打ち合いの方がいいと判断した」。2人の距離はほとんど同じで、打てば当たる。その思いが裏目に出た。

 後輩のためにも勝ちたかった。2年に在籍する菊華高(名古屋市)のボクシング部の後輩、犬塚蓮君(1年)が5月に急性硬膜下血腫で倒れた。左半身にまひ、言語も不自由になった犬塚君は、王者の姿を見て必死にリハビリし、今や80メートルを走れるほどに回復。前日には「勝ってください」と激励されていた。

 「ゆっくり休むことを第一に、今後のことを考えたい」。常々「負ければ引退」と口にしてきた32歳は岐路に立った。「十分わかっているつもりだったけど、こういうこともあり得るのがボクシングなんですね」。百戦錬磨の前王者の言葉は重かった。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

ボクシング世界戦記事バックナンバー最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(リング)

    写真

    話題の写真ランキング

    リアルタイムランキング

    注目トピックス