増田陸 初世界戦でつかんだ悲願ベルト「とても重たい」 広島から上京して10年 団体内統一戦に意欲も

 世界初挑戦で王座を獲得し、ベルトを巻いてガッツポーズをする増田陸(撮影・石井剣太郎)
 12回、比嘉(左)に右アッパーをたたき込む増田陸
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 「ボクシング・WBA世界バンタム級王座決定戦」(20日、両国国技館)

 メインイベントのWBA世界バンタム級王座決定戦は同級1位の増田陸(28)=帝拳=が2-1の判定で、2位の比嘉大吾(30)=志成=に競り勝ち、世界初挑戦で王座を獲得した。広島県出身では4人目の男子世界王者。

 フルラウンドの激闘の末、増田の手が上がった。“神の左の継承者”と称される左ストレートは不発に終わったが、強引に距離を詰めてくる元世界王者を鋭いワンツーで食い止め、決定打を与えなかった。判定は割れたものの2-1で競り勝ち、世界初挑戦で悲願のベルトを奪取。「とても重たい。率直にうれしい」と声を弾ませた。

 比嘉の圧力に押される時間も長かったが、最終回は大和心トレーナーから「王者になりたいんだろ。前に出られるか?」とハッパを掛けられ、底力で手を出し続けた。倒しきることはできなかっただけに「60点」と自己採点し、「目標を達成してうれしいが、改めてボクシングの厳しさを教わった。まだまだベルトに似合うボクシングができていない。もっと強くなって真の王者になりたい」と吐露した。

 読書、レコード鑑賞、キャンプなど多趣味で、自宅には室町時代の日本刀を所有している。父から授かったという「紫電一閃(しでんいっせん)」という四字熟語が座右の銘で、陣営のTシャツなどにも入れている。

 「研ぎ澄まされた刀が、振り下ろされたときに一瞬光るひらめきを現す言葉。自分のボクシングスタイルで、パンチがあって一発で試合がひっくり返るイメージ」

 試合前には鹿肉や熊肉などのジビエに舌鼓を打つなど、野性のエネルギーも蓄える。登山が好きで、ネパールの現地ガイドを雇い、ヒマラヤ山脈の標高4130メートルのベースキャンプ地まで3日間かけて登ったこともある。今月7日の公開練習の際には、七夕の願いごとを問われて「世界が平和になってほしい」と、自身初の世界挑戦を目前にしても達観してみせた。

 広島から上京して10年で、夢を一つかなえた。「少し休んでから広島に帰ってゆっくりしたい」。群雄割拠のバンタム級でついに王座を奪取し、次なる標的として「(WBA同級休養王者の)堤聖也選手とベルトを懸けて戦いたい」と言及。団体内統一戦に意欲を示した。

 ◆増田 陸(ますだ・りく)1997年9月23日、広島市出身。中学時代にボクシングを始め、広陵高、立大を経て、22年7月にプロデビュー。23年8月、日本バンタム級王座戦で王者・堤聖也(角海老宝石)と激闘を繰り広げるも判定負け。24年7月に富施郁哉(ワタナベ)に4回KO勝ちし、日本バンタム級王座を獲得。今年3月に5階級制覇のノニト・ドネア(フィリピン)とのWBA世界同級挑戦者決定戦に8回TKO勝ち。168センチ。左ボクサーファイター。

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