天心撃破の井上拓真、試合後はノーサイド談笑「最後に一発蹴っていいですか?」「勘弁して」一睡もせず一夜明け会見で笑顔「強敵に勝ててホッ」

 24日にトヨタアリーナ東京で行われたボクシングWBC世界バンタム級王座決定戦で那須川天心(27)=帝拳=に3-0で判定勝ちし、新王者に輝いた井上拓真(29)=大橋=が一夜明けた25日、横浜市の所属ジムで会見した。キックボクシング時代からプロ格闘技54連勝中だった神童に初黒星をつけ、自身1年1カ月ぶりの再起戦で王座に返り咲き。試合後は井上家で食事を取りながら試合映像を見返し、朝8時からはフジテレビの情報番組「サン!シャイン」に生出演したため「一睡もしてません」と笑い、「(王座に)返り咲いたというより、強敵の天心選手に勝てたことに一番ホッとしている」と改めて実感を込めた。

 激闘を繰り広げた後、会場の控え室で天心と談笑する一幕もあった。お互いに試合を振り返りながら言葉を交わしたが、キック無敗の神童から「最後に一発蹴っていいですか?」と冗談を言われ、「それだけは勘弁して」と笑い合ったという。拓真は「試合前はお互いピリつくのは当たり前だが、終わればお互いにたたえ合うのがスポーツのいいところ」と、ノーサイドを強調した。

 日本選手が活況のバンタム級戦線の中心に再び浮上し、昨年10月に敗れたWBA世界同級王者の堤聖也(29)=角海老宝石=との雪辱戦や、12月17日に堤と対戦するWBA同級暫定王者ノニト・ドネア(43)=フィリピン、さらにはバンタム級に上げてきた元4階級制覇王者の井岡一翔(36)=志成=らビッグネームと拳を交える可能性も広がる。

 今後の展望について「自分としては盛り上がるカードをやっていきたい。(大橋)会長から話があれば、どんな相手ともやりたい。僕は仕上げるだけなので。どんな相手だろうと、また強い井上拓真をつくりあげるだけ」と意欲。大橋ジムの大橋秀行会長(60)は「堤選手とのリベンジマッチや、井岡選手とやっても面白い。(実現の可能性がある)いろんな面白い試合がたくさんあるので楽しみ」と語った。

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