中谷潤人 試合後に呼びかけられすごく刺激に 試合前「判定でいい」テーマ貫く井上尚弥選手の強さ改めて感じた【観戦記】
「ボクシング・4団体統一世界スーパーバンタム級タイトルマッチ」(14日、IGアリーナ)
WBC・IBF統一バンタム級王者・中谷潤人(27)=M・T=がリングサイドで観戦。来年5月ごろに井上尚弥とのビッグマッチが計画される中、観戦記を寄せた。
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すごく刺激になる試合でした。試合前に言っていた通り判定でいいと考えて、それをやりきる。テーマを貫く強さ、すごさを改めて感じました。
アフマダリエフ選手が中盤から弱ってきていたのは、ボディーが効いていたんだと思います。今日の井上選手はパンチ一つ一つのタイミングがすごくよくて、前に出ていなくても効くパンチだと感じていました。
井上選手が、試合でここまでスピードを重視するボクシングをするのを見たのは初めてです。純粋な速さももちろんですが、それ以上に多彩さを強く感じました。同じスピードでも予測できない方が速く感じる。そういう意味でも、やっぱり強い選手だなと思いました。
試合後に名前を出して「お互いあと1試合で東京ドームで!」と呼びかけられたことも、すごく刺激になりました。その日が着々と近づいてきているという実感がわいています。
自分と対戦する、という気持ちで試合を見るのは2度目です。最初は日本ユース初代王座決定トーナメントのユーリ阿久井選手(後のWBAフライ級王者)の試合。あの時は1回で(ユーリ阿久井の右ストレートのワンパンチKOで)終わってしまって全然、参考になりませんでした。
でも、すごく刺激が入ったのを覚えています。自分にとってすごくプラスになりました。危機感を持てる方が、自分にプレッシャーというか、圧を与えられる。それが成長につながる。
その意味で井上選手の圧勝を期待していましたし、その通りの試合になりました。ボクシングの幅の広さと、メンタルの強さ。それをリングサイドから見て、改めて強い選手だと思いましたし、その日に向けて自分もまた強くならないと、と改めて感じました。
井上選手の試合から学んでいることは今でも、もちろんあります。最近では(5月のカルデナス戦で)ダメージを負ったのに、しっかり自分のリズムに組み立て直すところとか。
今回の試合では井上選手からテーマをやり抜く強さ、クレバーに戦う幅の広さを学ばせてもらいました。ほんとに、いろんな引き出しを持っていないと勝てない選手だと実感しています。
IGアリーナは初めてです。小学生のころ、空手の大会で愛知県体育館(ドルフィンズアリーナ)に来たことはあったんですが、それでも「すごく広い!」と思っていました。さらに広くて、液晶モニターも多くて米国の会場みたいでした。
三重県(東員町)出身で、祖父母は4人とも今も三重にいるので、中京エリアや名古屋で世界戦をやりたいという気持ちはあります。タイミング次第だと思いますが、今日の会場の雰囲気を見て、地響きのような歓声を聞いて、いつかIGアリーナでやりたいという気持ちになりました。





