井上尚弥に民族衣装を贈呈 異例行為にアフマダリエフが真意説明「尊敬してる人に贈る伝統」「悪意ない」計量パスで筋肉誇示
「ボクシング・トリプル世界戦」(14日、IGアリーナ)
前日計量が13日、名古屋市で行われた。4団体統一世界スーパーバンタム級王者の井上尚弥(32)=大橋=は100グラム下回る55・2キロでパスし、対戦相手のWBA世界同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(30)=ウズベキスタン=は300グラムアンダーの55・0キロで一発クリア。1492人のファンが観覧した異例の公開イベントで大歓声を浴びた。
アフマダリエフは計量をクリアすると、マッスルポーズで大きな力こぶを誇示し、会場をどよめかせた。「体の仕上がりを見せたかった。メンタルもいい調整ができて、状態のよさを披露したかった」。フェースオフでは井上から笑顔で握手を求められた後、約10センチの至近距離で約12秒にらみ合い、再度握手を交わした。「私はフェースオフはあれくらい近いものだと思っている。自然に近くなった」と事もなげに語った。
前日の記者会見後には、試合前にも関わらず、井上や陣営にウズベキスタンの伝統的民族衣装チャパンをプレゼントする異例の友好的なシーンもあった。その真意について、「私たちの国では、尊敬する人に民俗衣装を贈る伝統がある。過去にも相手に贈ったことはあるが、相手陣営の全員に贈ったのは今回が初めて」と明かした。
紳士的な態度に、大橋ジムの大橋秀行会長(60)は「逆に怖い」と警戒していたが、アフマダリエフは「これは私たちの風習なので。悪意を持ったものではなく、心からのプレゼント。井上陣営もそういう意味で受け取ってくれたと思う」と笑った。
一方、井上はアフマダリエフに対し、キャリア最大の強敵と位置づけて準備を進めてきた。緊張感も高まっているが、「久々ですよね、この感じは。本当にフルトン戦、ネリ戦、あるいはそれ以上。実力的には一番、評価しているし、それが自分のモチベーションも引き立ててくれて、楽しみですね」と胸を高鳴らせた。
プロ戦績は井上が30勝(27KO)、アフマダリエフが14勝(11KO)1敗。





