寺地拳四朗「今は何も考えられない」まさかの王座陥落に涙 「通過点」のはずが判定負け「向こうのほうが上手だったのかな」

 判定でリカルド・サンドバル(右)に敗れた寺地拳四朗
 12回、サンドバル(左)に攻められる寺地(撮影・石井剣太郎)
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 「ボクシング・WBC・WBA世界フライ級タイトルマッチ」(30日、横浜BUNTAI)

 WBC、WBA世界フライ級王者の寺地拳四朗(33)=BMB=はWBC同級2位、WBA同級3位のリカルド・サンドバル(米国)に1-2の判定で敗れ、2団体王座から陥落した。WBA世界バンタム級では同級2位の比嘉大吾(29)=志成=が王者のアントニオ・バルガス(米国)と引き分け。フライ級の世界王座を失った2018年4月以来、国内最長ブランクとなる7年3カ月ぶりの王者に返り咲けず、現役引退を表明した。

 「通過点」と表現した一戦で、まさかの王座陥落となった。終了のゴングが鳴り響き、コーナーに引き揚げる寺地の表情がゆがむ。判定が告げられると、うつむいたまま手をたたき、悔しさを押し殺して勝者をたたえた。観客席には両手を合わせ、何度も頭を下げて謝罪。目には涙が浮かんでいた。

 開始はジャブの差し合いで冷静な立ち上がり。3回には激しくパンチを繰り出す相手に、カウンター狙いで右フックなど合わせ、5回にはワンツーで顔面を射抜いてダウンを奪った。ただその後はサンドバルの強打を被弾し、打ち合いで主導権を握られた。顔を真っ赤に腫らして最終12回には猛ラッシュをかけたが、届かず。「崩しきれなかった。強かった。向こうのほうが上手だったのかな」。2本のベルトを同時に失った。

 3月に前WBA王者ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)との統一戦を制し、2階級目の王座統一に成功。その後は米ロサンゼルス合宿を敢行し、中谷潤人らが師事する名伯楽のルディ・エルナンデス氏の指導を受け、守備を強化してきた。被弾した際にあごが跳ね上がる点などの改善を試みたが、完成には至らず。「そこまで染みついていなかったのかな」。試合後の会見では反省が口を突いた。

 33歳で重すぎる4年ぶりのプロ2敗目。かねて目標にしていたスーパーフライ級での3階級制覇など、今後のプランは再考を余儀なくされた。「悔しさはある。まぁ今は何も考えられない」。思い描いていた集大成への道から一転、キャリアの分岐点に立つことになった。

 ◆寺地拳四朗(てらじ・けんしろう)1992年1月6日生まれ。京都府出身。奈良朱雀高、関大出。14年8月にプロデビュー。17年5月にWBCライトフライ級王座に就いた。21年9月に9度目の防衛に失敗し、22年3月に返り咲き。22年11月にWBAタイトルも獲得。24年10月にWBCフライ級王座を奪って2階級制覇し、25年3月にWBAとの2団体王座統一。名前は漫画「北斗の拳」の主人公に由来。右ボクサーファイター。

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