「ボクシング・世界スーパーバンタム級４団体王座統一戦」（２６日、有明アリーナ）

　ＷＢＣ・ＷＢＯ世界スーパーバンタム級王者の井上尚弥（３０）＝大橋＝が１５日、横浜市内のジムで練習を公開した。２６日のマーロン・タパレス（３１）＝フィリピン＝との４団体統一王座戦に向け、過去最多に匹敵する１１６ラウンドのスパーリングを消化。周囲の楽勝ムードとは対照的に、「より頭を使う戦いになる。フルトン戦の第１ラウンドより会場はピリつくようになる」と警戒した。

　モンスターに一切の慢心はない。タパレス戦へ向け“過去一”の練習量で、年末の決戦へ準備を整えた。１０月下旬から今月１４日まで行ったスパーリングは、実に１１６ラウンド。井上は「いつもより多くこなしたのは周りの楽勝ムードを吹き飛ばすため。楽勝ムードが一番怖い。自分の中で切り替えてやった」と狙いを明かした。

　多士済々のスパーリングパートナー４人と拳を交えた。日本非公認団体ながらＩＢＯ世界王者のエリック・ロブレス（メキシコ）らタイプの違う選手とこなし、タパレスのどの動きにも対応できるようにスパーを積んだという。フルトン戦の時の週２回から週３回に増やし、１日で最大８ラウンド。誰にも負けない練習量で万全の態勢に仕上げてきた。

　この日の公開練習でシャドーボクシングとサンドバッグ打ちを行い、大粒の汗を流した井上。父の真吾トレーナーも「同じタイプではないパートナー４人とやって、どんなタイプでもやれる確認ができた。自信に変える確認ができた」と手応えを示した。

　タパレスについては近年急成長したハードパンチャーと警戒している。その上で「ＫＯに関しては流れの中で見極めて、まずは勝つことをイメージしてやる」と井上。史上２人目の２階級４団体統一へ「段違いですさまじいモチベーション。自分を信じてやりたい」。偉業達成へ、内容よりも勝利至上主義に徹する覚悟だ。