重岡兄弟に受け継がれた“ヨネクライズム” 悲願達成の原動力となった「古き良き伝統」とは
「ボクシング・世界ミニマム級ダブル王座統一戦」(7日、大田区総合体育館)
IBF暫定王者の重岡銀次朗(23)=ワタナベ=が正規王者のダニエル・バラダレス(メキシコ)にTKO勝ち。銀次朗の兄でWBC暫定王者の重岡優大(26)=ワタナベ=も正規王者のパンヤ・プラダブシー(タイ)に3-0で判定勝ち。そろって正規王者となり初防衛に成功した兄弟には、大一番の前に“ヨネクライズム”が受け継がれていたという。
◇ ◇
悲願達成に重岡兄弟を担当する町田主計トレーナーも感極まっただろう。4月の暫定王座決定戦。兄弟そろってのKO勝利も「トレーナーとしてクオリティーが高い重岡兄弟が暫定ではいけないという思いがある」と大きな喜びはなかった。
兄弟にとって「これまでで一番の強敵」と分析した相手にどう戦うか-。06年から、閉鎖する17年までヨネクラジムに在籍した町田トレーナーは、正規王者へ向けた“ヨネクライズム”を2人に伝授した。それは当時、米倉健司会長が大一番で言っていた言葉だ。「ボディー、ジャブ、ジャブ、ボディーの組み立てが大事だと。ボディーの重要性をおっしゃっていて、2人に対しても口を酸っぱくボディー、ボディー、ジャブと言いましたね」。古き良き伝統は新世代へと受け継がれた。
18年に弟・銀次朗、19年に兄・優大がワタナベジムに入門したが、初練習の衝撃は今でも忘れないという。「ファーストコンタクトで『よし世界に行こう』と思えました」。伝統が継承され、正規のベルトをつかんだ兄弟。町田トレーナーも肩の荷が下りた思いがしたはずだ。(デイリースポーツ・ボクシング担当 水足丈夫)