井上尚弥 フルトンボコった4階級制覇 「次は4団体統一したい」タパレスとの対戦も即受諾
「ボクシング・WBC・WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ」(25日、有明アリーナ)
同級1位の井上尚弥(30)=大橋=が2団体王者のスティーブン・フルトン(29)=米国=を8回TKOで破り、19年の井岡一翔(志成)に続く日本男子2人目の世界4階級制覇を達成した。井上尚は昨年、バンタム級で世界主要4団体王座を統一していた。WBOフェザー級12回戦では同級11位で12年ロンドン五輪バンタム級銅メダルの清水聡が、王者のロベイシ・ラミレスに5回TKOで敗れた。
モンスターの怒濤(どとう)のラッシュを浴び、めった打ちにされたフルトンにレフェリーストップがかかった。8回だ。左ボディー、右ストレートの連打でぐらつかせ、追撃の左でダウンを奪う。立ち上がった王者に猛攻を浴びせてTKO勝利。超満員の会場に地鳴りのような大歓声が湧き起こった。4階級制覇と世界戦20連勝を成し遂げ、父・真吾トレーナー、大橋会長と抱き合った。
「スーパーバンタムに転向して、ひたすら練習に励んできました。スピードもパワーもあり、充実した試合内容をこなせました。(次は)スーパーバンタム級で4団体を統一したいと思います」。
無敗同士の対決。身長、リーチで上回る相手にもひるむことなく果敢に攻めた。破壊力のある右ストレートで相手は何度もロープを背負った。パワー、スピードで圧倒し、22度目のKO勝利を決めた。
5年2カ月ぶりに挑戦者として上がる世界戦。「過去一の練習」と自負するほど、自身を追い込んできた。自衛隊体育学校にいた鈴木康弘氏をトレーナーに招へい。自衛隊式トレで井上尚は「しっかりとした筋肉を作り上げる」と決意。体をいじめ抜いてきた。
下半身の瞬発力を高めるため毎週火、金曜は最大で75キロ程度のバーベルを持って動き回るハイクリーントレを日課とした。約150ラウンドのスパーリングをこなし、相手にはフルトン特有のバックステップの動きをマネてもらい対策は万全だった。
勝利の余韻に浸る中、観戦に訪れたWBA&IBF王座タパレスに、統一戦をモンスターに要求。井上尚は「今年中にこの(お互いの)2つのベルトを懸けて戦いましょう」と対戦を持ちかけた。日本史上初の2階級4団体制覇へ、モンスターがまっしぐらに突き進む。




