中邑真輔“毒霧混じりの涙”ムタに激勝「奇跡をありがとう」ノア武道館9500人熱狂
「プロレス・ノア」(1日、日本武道館)
元新日本で米国の世界最大手団体WWEで活躍する中邑真輔が、2月に引退することを宣言している武藤敬司の化身で80~90年代の米国マット界で絶大な人気を博したレジェンドレスラーのグレート・ムタに勝利した。
ハードスケジュールの合間を縫って来日した中邑は日本で約3年半ぶりの試合。WWEの選手が他団体に参戦するのは異例で、武藤とは新日本時代に対戦経験があるものの、ムタとは初めて。対戦が実現したことを自ら「奇跡」と呼んだ。
2人のスーパースターの激突に9500人の観衆は入場時から熱狂。戦いはムタがフラッシングエルボー、STF、ドラゴンスクリュー、閃光魔術、中邑はけいれん式ストンピング、スライディングジャーマンスープレックスなど得意技の応酬となった。
中邑はコーナーからのヒザ蹴りキンシャサでチャンスをつかんだが、ムタに真っ赤な毒霧噴射を浴び、イスでの猛攻を加えられた。しかし、中邑はナックルパート、ストンピング連打、ロープ際でのスリーパーホールドなど昨年10月に死去したアントニオ猪木さんを思わせるような狂気の攻めで逆襲し、さらにはムタがかつて披露していた花道を走ってのラリアットも繰り出した。
そして、飛びつき式の腕ひしぎ逆十字固めで捕らえたが、ムタに今度は緑の毒霧を噴射されて脱出を許す。そこから閃光魔術を連発されたが、カウンターのキンシャサで反撃。追い打ちのキンシャサはムタにブロックされ、3度目の毒霧噴射を狙われたところを、なんとムタの口から毒霧を吸い取って逆に毒霧を噴射。最後はもん絶するムタにキンシャサをたたき込んで3カウントを奪った。
「アイドルだった」というムタに勝利した中邑はマイクを持つと顔をくしゃくしゃにして涙を流しながら、「奇跡をありがとう。マイ・アイドル・ムタ」と感謝し、決めゼリフの「イヤァオ!」を絶叫。ムタと肩を組んで花道を引き揚げると、最後は中邑が「イヤァオ!」とムタが毒霧噴射を競演して締めた。
インタビューでも中邑は涙をこらえきれず、「マジで、こんな奇跡、神様じゃないと仕組めないでしょう。言葉を出せば出すだけ、感動が薄れていってしまうような感じが…」と感無量。「ずっと殺してきたわけですよ、こういう感情は。プロとして。それがこういった完璧な奇跡のタイミングで、元日の日本武道館、相手はグレート・ムタ、最高の入場、たまんないですね、マジで。超感激」と本音を漏らした。
初めてムタに触れたことを「あんなにデカかった壁が、なんら色あせることなくデカい壁でいてくれて、グレート・ムタとリング上で最後に肌を合わせられたことが、この上ない喜びと感激です」と振り返り、「大好きだったんですよ、ガキの頃。武藤敬司は60(歳)で引退しますが、それに比べりゃ(自分は)まだ鼻たれ小僧ですから。まだまだ世界で戦っていきたいと思います」と決意を新たにした。