「ボクシング・１０回戦」（１１日、名古屋国際会議場）

　ボクシングの元世界３階級王者・田中恒成（２６）＝畑中＝が再起戦となる５２・５キロ契約１０回戦に臨み、ＩＢＦ世界スーパーフライ級５位の石田匠（３０）＝井岡＝に２－１（９６－９４、９６－９５、９４－９５）の判定で競り勝った。初黒星を喫した昨年大みそかのＷＢＯ世界スーパーフライ級王者・井岡一翔（３２）＝志成＝との試合から１年ぶりの復帰戦で世界ランカー対決を制した。

　初黒星から１年。「ＲＥＢＯＲＮ（生まれ変わる）」をテーマに再起戦に臨んだ田中が生き残った。最大２点差の僅差判定ながらサバイバル戦を制した。「このリングに帰ってきて楽しかった。また頑張ります」と復活を宣言した。

　再起戦にはハードすぎると思われた世界ランカー対決。石田のジャブに苦戦するが、３回から距離を詰めてペースを変える。石田に鼻血を流させ、主導権を握った。

　井岡戦を最後に、幼少期から指導を受けてきた父・斉氏がチーフセコンドを離れた。完敗を認め、プライドも捨てた。新たにチーフに就いた村田大輔トレーナーと顔の向きからガードまで基礎から見つめ直した。「今まで熱くなりすぎていたのが、今日は楽しむことができた」。ボクシングに新しい発見もある。

　畑中清詞会長は今後について「声がかかればぜひとも」と世界戦に向かう姿勢を強調した。「石田選手に勝ったんで、僕が世界に行くしかない」と田中。生まれ変わった恒成が再び世界への一歩を踏み出した。