今振り返るRIZIN 浅倉カンナが“RENA超え”で初代女王に

 RIZINを振り返る8回目は2017年12月31日のさいたまスーパーアリーナ大会だ。

 この大会では、バンタム級トーナメントと女子スーパーアトム級トーナメントの準決勝、決勝に加えて、キックボクシングルールのワンナイトトーナメントも開催された。今回は試合順ではなく、トーナメントごとに振り返っていく。

 まずは“キックボクシング界の神童”那須川天心、元アマチュアボクシング6冠の藤田大和、ミャンマー立ち技格闘技ラウェイでタイトルを獲得した浜本“キャット”雄大、パンクラス3階級制覇王者の砂辺光久の4人が争ったワンナイトトーナメントから。

 初戦の準決勝では、那須川が浜本を昭和の大人気キックボクサー沢村忠の得意技“真空飛び膝蹴り”を思わせる左の飛びヒザ蹴りで失神させて2回1分58秒KO勝ち。前々回大会で那須川と総合格闘技(MMA)ルールで戦って判定にもつれ込む接戦を演じた藤田が、砂辺を2度ダウンさせて3回50秒KO勝ちを収め、決勝は那須川と藤田の再戦となった。

 2人は序盤から激しい打ち合いを展開。目にもとまらぬ素早いパンチ、キックが飛び交う中、1回に那須川が左ストレートからのラッシュでダウンを奪う。さらに、追い打ちをかけて左ストレートで2度目のダウン、最後も左ストレートで3度目のダウンを奪い、1回1分27秒TKOで藤田を返り討ちにした。

 見事な優勝を果たした那須川はリング上で、「ボクと誰の試合を見たいですか」と観衆に質問。客席から次々と「武尊!」と、対戦が熱望されているK-1のカリスマの名前が上がると、那須川は「みなさんの声が答えだと思うので、来年中にやりましょう」と、個人名を出さずに呼び掛けた。だが、ファンが熱望する那須川と武尊の対決は、ここから紆余曲折を経たものの、いまだ実現には至っていない。

 次は女子スーパーアトム級トーナメント。準決勝では、ここまでMMAデビュー5連勝と快進撃を続ける“シュートボクシングのツヨカワクイーン”RENAが、1回戦で元女子レスリング世界王者の山本美憂を破ったアイリーン・リベラ(スペイン)に1回4分39秒TKO勝ち。浅倉カンナがマリア・オリベイラ(ブラジル)に腕ひしぎ十字固めで、2回3分40秒一本勝ちを収めた。

 決勝はRENAと浅倉の対戦。浅倉が序盤から果敢にタックルを仕掛けて、立ち技を得意とするRENAとの距離をつぶしていくと、1回終盤に得意のグラウンド戦に持ち込み、チョークスリーパーで捕獲。そのまま失神に追い込んで1回4分34秒一本勝ちを収めた。

 女子高生ファイターとしてRIZINに参戦し、初戦は黒星、その後は3連勝するもすべて判定と、苦しみながら成長を続けて初代女王の座についた浅倉。姉のように慕うRENA超えを果たし、「本当にこのRIZINの舞台でベルトを巻けてうれしい。人生初です。レスリング辞めてつらい時期もあったけど、あきらめずに格闘技を続けてきてよかった」と、喜びをかみしめた。そして、シュートボクシングを含めて6年間無敗を誇り、女子格闘技の象徴といえる存在となっていたRENAが敗れたことで、RIZIN女子は戦国時代へ突入していくのであった。

 最後はバンタム級トーナメント。準決勝では元UFC世界フライ級3位の堀口恭司が“アンゴラ番長”マネル・ケイプ(アンゴラ)を相手に、偶然のバッティングからラッシュを浴びて右目上から出血するアクシデントに見舞われながらも、3回4分27秒肩固めで一本勝ち。元パンクラス・バンタム級王者の石渡伸太郎がDEEP2階級制覇王者の大塚隆史を判定で破って、決勝へ駒を進めた。

 2人は13年6月に対戦して堀口が勝利して以来の再戦。1回は大きく距離を取って素早く懐に飛び込む堀口と、どっしり構える石渡のにらみ合いが続いたが、後半に石渡の左ヒザ蹴りを堀口が捕らえてテークダウンしてから急転。コーナー付近での猛烈なパウンドで石渡を追い込むも、石渡は驚異的な粘りを見せて立ち上がり、足をふらつかせながらも打ち合って、なんとか1回を持ちこたえた。

 そして2回。開始早々に堀口が繰り出したカウンターの右フックが顔面を捕らえると、石渡が崩れ落ち、即座にレフェリーがストップ。場内が大きくどよめく衝撃的な2回14秒KO勝ちで、堀口が貫禄の優勝を果たした。本命の期待を背負い、フライ級から1階級上げてトーナメントに参戦した堀口だったが、「異次元の強さ」は変わらなかった。(続く)

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