【長谷川穂積の拳心論】強豪とのキャリアで上回った京口のうまさ
「ボクシング・WBA世界ライトフライ級タイトルマッチ」(1日、エディオンアリーナ大阪)
スーパー王者の京口紘人(25)=ワタナベ=が、プロ46戦目で世界初挑戦の同級1位、久田哲也(34)=ハラダ=を3-0で判定勝ちし、2度目の防衛に成功した。
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互いのプライドをかけた日本人対決だからこそのすばらしい試合だった。京口選手自身も口にしていたが、ポイントを取っているように見せるうまさが勝利を呼んだ。
久田選手は体幹が強く体がぶれないため、京口選手より強いパンチを打てていた。しかし、京口選手は打った後に少し体を押し出したり1、2発余分に出したりと、たとえ効いていなくてもそういう動きができる。すると、同じ手数でも勝っているように見えるもので、僕自身もよく使った手法だ。
戦歴数では久田選手の方が上回っていたが、強豪とのキャリアは京口選手の方が上。ポイントを取っているように見せるうまさも、そのキャリアが生んだ技術の一つと言える。
46戦目で世界初挑戦の久田選手は、背水の陣だっただろう。覚悟は京口選手より上だったのではないだろうか。結果は出なかったが、これだけの観衆の前でいい試合ができた。ここまで頑張った彼への神様からのプレゼントだったと思う。(元世界3階級制覇王者)