スターダム退団の宝城カイリ 涙と感謝の最終戦「失敗を恐れずに挑戦する」

涙を堪えながら別れの挨拶をする宝城カイリ=新木場1stRING
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 「プロレス・スターダム」(4日、新木場1stRING)

 5月6日の大会で退団することを公表していた宝城カイリ(28)がスターダムでの最後の試合となる、小波、美邑弘海と保持するアーティスト・オブ・スターダム王座の防衛戦を行い、紫雷イオ、AZM、HZK組に敗れて王座を失った。さらに、自身の希望でスターダム所属選手との10人掛けも行い、最後は超満員札止め433人のファンの前で別れを告げた。

 宝城は気合をみなぎらせて防衛戦に臨み、ライバルのイオとは激しくやり合ったが、最後はパートナーの美邑がAZMに丸め込まれた。試合後はマイクを持ち、「負けて悔しいけど、正直強かった」と相手をたたえつつ、「小波君と弘海も強かった。あと一歩だよ。これからも絶対に心を折らずにスターダムを守ってね」と、後輩に後を託した。

 続けて、「スターダムのメンバー、1人1人全員と肌を合わせたい。もうちょっと暴れていいでしょうか」と希望し、羽南、ルアカ、AZM、刀羅ナツコ、小波、ジャングル叫女、岩谷麻優、イオ、HZK、美邑を相手に急きょ各1分1本勝負の10人掛けを敢行。ライバルのイオからは惜別のムーンサルトプレスを浴びせられれば、自身も美邑に見納めの必殺技ダイビングエルボードロップを放って最後を締めた。

 そして、マイクを持つと、「5年半、海賊レスラーとしてやってきて、あることに気づきました。ずっと、宝とは何なのかを探し続けながら、プロレス界のリングという大海原で戦ってきました。宝物はかけがえのない、仲間、支えて下さった関係者のみなさん、家族、応援して下さるみなさんとの出会いこそが宝城カイリの一番の宝物でした」と目頭を熱くしながら感謝。さらに、「みんなから一言もらいたいな」と求めて各選手からメッセージをもらい、涙の抱擁を交わした。

 その後、再びマイクを持つと、「しばらくの間、会えなくなってしまうのは本当にさみしいし、不安もありますけど、5年半学んだこと、必ず、人生に置いてプラスになると、生かされると信じています」と誓い、「この一期一会を決して忘れることなく、自分らしく、かっこ悪くても、前を向いて笑顔で一歩一歩みんなと進んでいけたらいいと思います。本当にありがとうございました。これからもスターダム、宝城カイリ、選手全員を見守って下さい」と、ファンに向かって別れを告げた。

 セレモニーを終えると、「人生は冒険なので、笑顔を忘れずに、どんなときでも前を向いて、七転び八起きで、夢や希望を与えられる人間に必ずなります。楽しい航海でした」と充実の表情。これまでのプロレス人生を振り返り、「もう一人、宝城カイリの分身がいれば、抱きしめてほめてやりたい。『よくやったね』って声をかけるかも知れないですね」と涙を浮かべながらも笑顔で話した。

 具体的な今後の進路については明言していないが、世界最大のプロレス団体WWE参戦が有力視されている。スターダム生え抜きから新たな世界へ挑戦することに、「不安の気持ちの方が大きいですけど、何事もあきらめなければ乗り越えられるという教訓をこの5年半で学んだので、それを信じて、楽しむ気持ちを忘れずに、失敗を恐れずに挑戦して、成長していきたいです」と目を輝かせた。

 トップ選手の1人が去ることは団体に与える影響も大きいと思われる。それでも、スターダムのロッシー小川社長は「人が抜けるのは団体の宿命。やっていればこういうことはある。リセットして、また新しいスターダムを生み出せればいい」と前向きに話した。

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